第6話 俺が認めた女

小学1年生の時、青いランドセルを背負っている女がいた。

それが佐藤だ。

堂々としていて、かえってからかう奴はいなかった。

まだ男は黒。女は赤の時代にだ。

最初俺は「変な奴」ぐらいにしか思えなかった。

でも、青いランドセルには理由があることを他の奴から聞いて衝撃を受けた。

佐藤の親は娘が可愛すぎて心配だから、佐藤を男にしようとしてる。

というような内容だった。

そんなことがあるのか!と、びっくりした。

女子といえばリボンだったり、フリフリのピンクの服を着てるだけのつまらない生き物だとしか思っていなかった。

俺は初めて男以外の人間に興味を持った。

気が付いたら佐藤のことを誰よりもよく知りたいと思っていて。

よくあいつの事を見ていた。


佐藤は本当に顔が可愛い女の子で、明るくて、男子からよくちょっかいを出されていた。

俺もそのひとりだった。


でも、中学の時俺は自分が怖くなった。

制服のスカートに、今までショートカットにしていた髪も少し伸ばしていて、佐藤はいきなり女らしい女になった。

ストッパーが外れた時の自分や、めちゃくちゃになった佐藤を想像して、俺は頭がおかしくなりそうだった。

実際頭がおかしくなっていたのかもしれない。

佐藤を好きになるやつは沢山いて、特に違う学校から来た奴はなんとか接点を持とうとしているようだった。

俺はバカで、そいつらの邪魔をすることでしか全てを解決させることが出来なかった。

甘い言葉に誘われて、他の女子と関係を持ち、しょうもない男だった。

そんな俺が変わり始めたのは、あいつがやきもちを焼いているんじゃないかと思えてきたからだった。

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