第197話韓国人の抵抗

12月5日木曜日AM8:20

 ベッドに横になったままテレビを見ていた。

 イザベルは既に起き出して階下に行っている。

 CNNのニュースには菅官房長官が『百済県』と書かれたボードを持って映っていた。

 韓国が百済県になる事とウォンから円への切り替えの発表だ。

 

 韓国の様子が流れている。

 銀行等の両替商に並ぶ人の映像が映し出される。

 窓口で叫ぶ韓国人達のアップ。


 テロップで12月9日から両替が可能との知らせが出る。上限は50万円。

 それも、役所で韓国人の世帯毎に出される両替券を持参しなくてはならない。


 日本の様子も映し出される。

 韓国人団体の、国会前と総理官邸前でのデモを取り締まる機動隊。

 在日韓国大使館からの退去。

 大使館の鉄門が開けられ、機動隊が並ぶ前を何かを叫びながら出てくる大使館職員達。


 日本のテレビ放送の様子も紹介され、反体制を気取ったコメンテーターが政府の処置を非難している。英語のテロップが流れる。


 トランプ大統領のインタビュー。

「韓国は、同盟国であった日本とアメリカに対してあまりにも無礼であった事の結果だ。日本と協力してアジアの平和を保ちたい」


 イザベルが寝室に上がってきて言う。

「ご飯食べましょ」

「ニュース見たか?」

「下のテレビで見てたわ」

「どう思う?」

「一般の人はかわいそう」

「政治家のせいだって言うけど、一般人の頭の中も政治家と変わらないよ。あの国民は」

「あなたは韓国を嫌いだもんね。韓国人の事は良く知らないけど、私も好きじゃないわ」

「韓国人の事を簡単に言い表すと『沈んで行く船の船長が、乗客に向かって心配有りませんって言ったすぐ後で、自分だけ逃げ出す』って言うような人間達だな」

「そんな事件有ったわね。高校生達に安全だから動かないでって言って、船長だけ避難して、多くの若い人達が死んだ事件」

「それそれ。兎に角、自分だけ良ければいいんだ。レストランで周りの迷惑を考えないで大声で喋ってるのを見れば分かるよね。中国人も煩いけど、韓国人に比べれば可愛いもんだ」

「そうかもね。あの人達が話してると、普通の会話なのか喧嘩してるのか分からない事が多いわね」

「それに、ズルい。何か問題を解決出来ないと他に悪者を作って、そっちに感心を持って行こうとする。悪者にされてたのが日本なんだけどね」

「我慢してた日本が爆発しちゃったのね」

「簡単に言えばそういう事かな」

「私には爆発しないでね」

「それは俺が言いたい」


 ご飯と焼き魚を朝からしっかりと食べる。

 日本から電話だ。

 二階堂の声が響く。

「隠岐の島への観光船で『レインボージェット』がハイジャックされました。乗客は船員と犯人達を入れて29人で、犯人から要求が出ています」

「ジェット? 船だろ」

「高速船でレインボージェットと言う名前が付いています。要求は韓国人に対しての両替を、1家族5000万円まで認めろと言う事と、現金5億円を要求しています」

「今、その船は何処にいるんだ?」

「じきに北朝鮮の領海に入ります」

「船の様子は分かるのか?」

「保安庁のドローン偵察機ガーディアンからの映像では、犯人の少なくても2人が小型マシンガンを持っています」

「保安庁の船は?」

「近づくと人質を殺すと言われて近づけません」

「犯人は何人か分かるか?」

「乗客に紛れて乗船しているので、はっきりとは分かりません。乗客名簿にも名前しか書かれていないので。全員が日本名です」

「金の受け渡しはどうする積もりなんだ?連中は」

「5億円は、午後1時に船の近くに投下しろと言っています。その後に人質の10人を救命ボートで解放すると言う事です」

「その後は?」

「それは明かして貰えませんが、多分北に受け入れ先が有るような気がします・・・電話を代わります」

「誰に?」

「中本さん、安倍です」

 安倍総理だった。

「こんな事件が起きるとは想定外でした。在日韓国人の監視が甘かった様です」

「実行犯は在日ですか。彼ら、完全に日本に溶け込んで暮らしていますからね。誰が危険分子か見分けるのは難しいですよ」

「この事件、お願い出来ますか?」

「断れないですね」

「舞鶴の海上自衛隊基地方向にSBU隊員が向かっています。1時間後には港を出た護衛艦の上にいます」

「一応、護衛艦に投下用の5億円を用意しておいて下さい」

「分かりました。代わります」

 二階堂が出た。

「自分が護衛艦まで金を持って行きます。追っかけでヘリで行きますから」

「分かった。護衛艦は『あたご』か?」

「そうです」

「んじゃ、後で『あたご』でな」


横で俺の顔を見ていたイザベルに言う。

「ハイジャックだ。日本に人質救出に行ってくるよ」

「行ってらっしゃい。早く帰って来てね」

 まるで会社に出勤するように送り出される。

「あのさ、心配とかしないの?」

「それは心配してるわよ。なるべく犯人を殺さないでね。神様は見てますよ」

「悪い奴の心配するなよ」


 飛行スーツに着替えて飛びたった。


 

 

 

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る