第196話国際連合総会
11月30日土曜日
ニューヨークの国連本部で臨時国連総会が開かれていた。
加盟国数国の意見が飛び交ったが、米国大統領トランプ氏の発言に力が有った。
「東アジア地域の安定と平和を維持するには韓国政府の力量では無理が有った。第二次大戦後、70年以上も平和を維持してきた日本に、アジアの火種となりそうな朝鮮半島の南側を任せる事に賛成し、アメリカは最大限の力を貸す事を約束する」
国連総会議長、ナイジェリア人のティジャニ・ムハンマド・バンデ氏が投票の開始を宣言する。
投票でも日本が韓国を併合する事の賛成票が90%に達し、国連にも承認され、韓国と言う国は消滅した。
元より、世界の東の端での争いに興味の有る国は少なかった。日本が大陸と地続きだと思っていた国も有るほどだ。
国連総会に当事国代表として出席していた安倍総理は、羽田に向かう政府専用機の中にいた。
警護のSPの中に、二階堂と俺も混じっていた。
全員がネクタイをしているので、俺もSPに溶け込むと言う事でネクタイをつけられたが、離陸後にネクタイを外して二階堂に渡した。
機内にはベッドルルームが2つ有る。ひとつは首相用で、もうひとつは賓客用だったが、今回は俺に賓客用のベッドルームを貸してくれた。
長時間を椅子に座るのが嫌だったので出した条件だ。
席を立ち上がり、ギャレーに行ってワインを貰い、ベッドルームに入った。焼酎は無かった。
テレビを点けてベッドに横になっていると、いつの間にか眠ってしまった。
テレビニュースでは、世界各国にいる韓国人市民団体の抗議運動が映し出されていた。
12月3日火曜日PM6:00
ニューヨークから、一度東京の自宅に戻りセブ・バランバンに来ていた。
庭に置かれた目の前のグリルでは、オヤジが捕ってきた魚が焼かれている。
隣で、俺の肩に頭を載せたイザベルが言う。
「クダラで忙しいんでしょ?」
「息抜きも必要だよ。米軍も百済が落ち着くまで協力してくれる事になったから大丈夫だ・・・お腹、大きくなったな」
「そうでしょ。何かね、不思議な力を感じるの。お腹の中から」
「どんな?」
「あなたが、いつも手を当てて治療してるでしよ。私にも出来るかも知れない。私じゃなくてお腹の子供の力かも知れないけど」
「いいな、それ」
「この前、お父さんが腰が痛いって言ってて、私が揉んであげようとして手を当てたら、あなたがやってる時みたいに細かい粒子が出てきたの」
「それで、治ったのか?」
「そうなの。ほんの3分位で、お父さんがもういいって。もう、痛くないって」
「お前の力か、子供の力か?」
「多分、子供。手を当ててる時にお腹が温かくなったの」
「そうか。生まれてくるのが楽しみだな」
「この子、早く出て来そうな気がする」
「男かな」
「多分、女の子」
「母親に似て美人になるな」
プチが歩いてきてイザベルの膝に顎をのせた。イザベルと俺の顔を交互に見て、尻尾を振っている。
ジュンの妹のマリアとイザベルの妹が、俺達の前に置かれたテーブルにスープやご飯を置いていく。
2人とも可愛い。特に16歳のマリアは無垢な可憐さが有る。
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