第195話韓国の新名称

 二階堂と車庫から応接室に上がった。

「韓国がクダラ? クダラってどんな字を書くんだ?」

 二階堂は壁に掛かっているホワイトボードに『百済』と書いた。

 俺が言う。

「昔、朝鮮半島にあった国だよな」

「そうです。古代の朝鮮半島西部にあった国の名前を使うことになりました。但し県です、百済県。九州の一部となります。そして韓国政府は失くなります」

「それで、県庁所在地が釜山になるって言うけどソウルはどうするんだ?」

「殆どが軍の基地になります。残っている建物も軍関係が使うようになる予定です。司令部は釜山に置かれる予定ですが」

「韓国のウォンはどうなるんだ?」

「今のところ100ウォン1円で、1家族あたり50万円まで交換を受け付ける予定です。為替相場では既に1ドルが25000ウォンまで暴落していますので、救済処置です」

「ちょっと前までの20分の1以下か」

「百済県で円への交換と流通が始まるのが12月9日で、12月末までウォンの両替を受け付けます」

「それ以降はただのゴミになるわけか」

「そうですね。新規発行のウォンも無くなる訳ですから」

「金持ちはパニックだな」

「そうですね。現金だけじゃなく、国債も紙切れになりますから」

「百済県になる事と、通貨が円になる発表は、いつするんだ?」

「正式のアナウンスは12月5日ですが、韓国政府が失くなった訳ですからウォンの投げ売りが止まりません。市民は今の内にウォンを物に変えようとして、市場や商店等は大混雑です。円高も進んでいて、今日の朝の時点で1ドルが90円を切りました」


 幸恵がコーヒーを持ってきてくれた。一口飲んで考える。


「日本政府は百済をどうする積もりなんだ?」

「工場と農業に特化した県にする予定です。種の輸出が伸びていましたが、実際の生産農家として所得を上げていく方針です。それと、かなりの工場が韓国に移ると思われます。農場は大規模に機械化されるので、人手は少なくて済みますので、工場は安い賃金で人手が確保出来ますから」

「百済は日本の工場と畑となるわけか。日本と肩を並べそうになってたのに、東南アジアに並ぶのか」

「あれだけ、日本を敵視していた国ですから、日本に喧嘩を売ったらどうなるかを、やっと思い知ったでしょうね」

「パスポートやビザはどうするんだ?」

「韓国人は『日本・百済特別県』の国籍になります。日本に渡航する場合はビザが必要になります。今現在、日本国内に定住している韓国人もビザの取得が義務付けられます」

「厳しいな」

「敗戦国ですからね」

「向こうで暴動が起きるんじゃないか?」

「陸上自衛隊が大忙しです」

「韓国軍兵士だった連中は大人しくしてるのか?」

「殆どは自分の先の事をかんがえて日本の決定に従ってますが、危険分子は始末しています」

「始末か・・・嫌な役目だな」

「少しの金で何でもやる韓国人が沢山いますから」

「レジスタンスも出てくるんじゃないか?」

「はい。抗日の集団を見つけ次第潰していますが、地下に潜っている連中を片付けるのには時間が掛かりますね」

「北の動きは?」

「今のところ静観してます。日本には、この前のソウルで痛い目に会ってますから」


 韓国の事で話し込んでいる内に昼食の時間になり幸恵が呼びに来た。


 ダイニングテーブルに移り、娘達と一緒に昼食を食べる。網代で買ってきた干物が並ぶ。

 一枚1200円だったキンメの干物が、高いだけあって旨い。10枚買ってきたので幸恵にも分ける。


 二階堂に聞く。

「日本国内での韓国人はどうだ?」

「大騒ぎです『日本政府の侵略を許すな』と言った無許可デモが、今日も有ると思います」

「そいつらをどうしてるんだ?」

「機動隊が捕まえて百済へ送還です。その後は百済県に留まるしか無いですよ。対馬から山陰、九州の警戒が厳重になっているので、日本本土の県には暫くは出られないです」


 向かい側に座ったマキが聞く。

「韓国が日本になったって本当なんだね」

 俺が答える。

「ああ。韓国って国が失くなって百済特別県になったんだ。彼らは準日本国民という事になるな」

 二階堂が娘達に言う。

「無能な人を国のトップにしてしまった国民のせいなんだよ」

 綾香が聞く。

「大統領は何してるの?」

「日本の留置所にいるよ。裁判を待ってる」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る