第122話 ロスアンゼルス市長

7月17日 午後6時30分。

ビバリーウィルシャーのスイート。ベッドでビールを飲む。俺の横には裸のジェーン。

コリアンタウンから、それぞれの部屋に帰って、すぐにジェーンを連れて来た。一緒にシャワーを浴び、2日間の欲求をぶつけた。

 ジェーンの裸の尻を隠しているブランケットをずらす。形のいい尻にビールの冷たいグラスを当てる。

ジェーンが目を覚まし、抱き着いてくる。

「今、何時」

「6時半」

「もうすぐ二階堂さん来るじゃない・・・用意しなきゃ」

7時から食事の予定だ。ジェーンはバスルームに駆け込む。

ドアがノックされる。俺はドアの前に立つ。

「フー イズ イッ?」

「二階堂です」

ドアを開ける。二階堂が一歩部屋に入り言う。

「市長がもうすぐ来ます。子供を救ってくれたお礼がしたいって」

「任せるよ」

「任せるって・・・俺じゃダメです」

「チームの代表だって言えばいいよ。ニッポン代表!」

 二階堂を押し出しドアを閉めた。外で二階堂が叫ぶ。

「夕飯はここのレストランですよね?・・・俺を置いてどっか他に行かないで下さいよ!」

「分かってる。頑張れよ、ニッポン代表!」

ブツブツ言う声が遠くなる。 バスルームに駆け込み、シャワーを浴びているジェーンを後ろから抱く。

「二階堂さんの声がしたけど・・・」

「何か用事があるから遅くなるって」

「トオル・・・お腹空いてるの、ワタシ」

「そうだな。俺も腹ペコだからジェーンをもう一回食べる」

ベッドに抱えて行った。

ジェーンの笑い声が喘ぎ声に変わる。


ビバリウィルシャーのメインダイニングの夕食は豪華だった。ウェイターのお勧めのコースとワインを頼んだ。元々ワインは良く分からない。ウェイターに申し訳ないのでテイスティングも形通りにやったが、俺がワインを分からないのを見抜いているジェーンは笑いを堪えていた。

 デザートが運ばれてくる頃に二楷堂がやって来る。

「遅かったな・・・もうデザートだぞ」

 後ろを指差している。スーツ姿の3人が歩いてくる。

「誰?」

「市長です・・・最初は普通に礼を言っていたんですが、市長の携帯に電話が有って、それがトランプ大統領からだったんです。トールに宜しくと言っていたようで・・・俺はトールじゃないですから」

 市長が二階堂の後ろに立っている。

「あなたがトールですか?・・・」

「そうです」

 手を握られる。

「本当に有難う。あなたは私の一番大事な者を救ってくれた・・・感謝しても感謝しきれない」

笑顔でいるしかない・・・何か言わなきゃ。

「無事で良かったです」

ウェイターが市長に椅子を持って来る・・持って来るなよ・・・俺の隣りに椅子を置いた。市長が座る。2人のボディガードが市長の後ろに立つ。

「大統領からも宜しくと言われています。お知り合いのようですね」

「実際に会ったのは1回だけですけど、まあ、知り合いですね」

「大統領が日本に行かれた時に会ったのですか?」

「いや、ワシントンで・・・」

「ホワイトハウスに招待されたんですか?」

 これ以上詳しくは話せない。

「まあ、そうですね」

「そうですか・・・いつまでココに?」

「明日、日本に帰ります」

「そうですか・・・残念です。次回は是非、家に泊ってください。家族で歓迎します」

「それは有難うございます」

市長とボディーガードは帰って行った。二階堂が車まで送り戻って来る。

「だから言ったじゃないですか。私じゃダメだって」

「まあ、座れよ」

「明日、帰るんですよね?」

「ベガス行くか?」

二階堂はジェーンと声を揃えて言う。

「ダメです!」


二階堂は日本に電話をしている。東洋旅行社のようだ。電話を切って言う。

「明日は13時35分発で成田着が19日の16時45分のアメリカンエアーです。JALは空いてません。料金は3人で110万円です。11時にはチェックアウトしますから」

市長を押し付けられたので怒っているのか? 

「まあ、好きなもの食え」

「市長に中華をご馳走になりました!」

「良かったじゃないか」

「良くないです。最後にはトールに会わせろって半分怒り出すし・・・」

「お疲れさん・・・飲め」

俺のワイングラスの残りを飲み干し、さらにワインを注いで飲み干す。

ジェーンと顔を見合わせて笑った。しまいには二階堂も笑い出す。

更にワインを注文し3人で飲んだ。


プールサイドのチェアに移動して、カクテルを飲む。

二階堂が言う。酔っている。

「JIAで働いていて良かったです・・・」

「ロスのプールサイドでカクテルが飲めるもんな」

「ちゃかさないで下さい」

ジェーンが笑っている。今日は二階堂がつぶれた。部屋まで担いで行きベッドに寝かせてやる。ジェーンがソックスを脱がせてやっていた。

それぞれの部屋に戻った。改めて冷蔵庫のビールを飲む。

終わった終わった。娘達は何をしてるかな・・・・。




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