第79話 18歳の愛人

6月17日 月曜日

9時に起きる。コーヒーを煎れ、ソファーに腰を下ろしてテレビを見る。

驚いた。竹島が日本の実効支配下になったというニュースだ。総理の決断に拍手だ。

安倍総理の記者会見の模様が画面に映る。

「歴史的史実と国際的な認知の元に、竹島を日本の領土として・・・・」

海上自衛隊幕僚長の河野さんも忙しい事だろう。

切っていた携帯のスイッチを入れる。

すぐに呼び出し音が鳴る。JIAの二階堂氏だ。電話に出る。

「二階堂です・・・準備の方はいかがでしょうか?」

北朝鮮のミサイル基地と核施設の件だ。準備など何もしていない。

「準備は整ってます。いつでも行けますよ」

革のジャケットが穴だらけなのを思い出した。

「そうですか・・・良かった。今日、赤坂の方に来ていただけますか?Cの方からもいくつか情報が届いています」

Cか。CIAの事だ。昼過ぎに行くと約束し、電話を切るが、すぐに掛け直す。

「実は、装備の事なんですが。今まで革のジャケットを着てたのですが、何か空気抵抗の少ない、防火性と伸縮性のあるような素材の服がないかと思っているのですが、いいアイデアは有りませんか?」

「・・・中本さんがこちらに着く迄に調べておきます」

良い物が見つかればいいが。


11時。娘達が起きて来る。起きてすぐ肉を食べたいと言う。買い物だ。

昨日のステーキはハンバーガーに化けてしまった。

いつもの『マルエツ・プチ』。精肉売り場に直行する。精肉の主任を見つける。俺の事を覚えていた。今日は神戸牛のいい肉が入っていると言い、バックヤードに消え、すぐにステンレスのトレーに肉の塊を載せて持ってくる。綺麗なサーロインだ。100グラム1800円だと言う。前回と同じで500グラムを3枚切ってもらう。

サラダやデザート類をカゴに入れて肉売り場に戻る。精肉主任が俺達を見つけ、冷蔵庫から切り分けた肉の入った、ラップをかけたトレーを持ってくる。

「少しだけサービスしておきました」

と言ってトレーを渡した。ラベルを見ると1540グラム。27000円となっている。40グラムのサービスだ。

合計31000円の会計を済ませ歩く。娘達は・・・通路の先のドリンクスタンドのような所で飲み物を買ってくる。綾香はタピオカ何とかで、マキは何とかグラマン。オジサンはグラマンなんて聞くと戦闘機を思い出してしまう。両方とも基本的に甘く、太いストローから丸い物が出て来るか、ゼリーの様な物が出るかの違いだ。


1枚9000円のステーキを食べる・・・至福の時。店で食べたら間違いなく3万円近くはするだろう。


食事が済み、ジュリアで赤坂に向かう。娘達は満腹で動けない。どうせ、この後はゲームだろう。

JIA事務所には二階堂と、初めて見る顔が居る。東レの新素材でスーツを作れると言う。生地の表面が滑らかで伸縮性と防火性に優れ、摩擦にも強い。但し、防水ではないと言う。濡れても飛べばすぐに乾いてしまうので気にしない。

その場でパンツ1枚にされ、採寸される。色を聞かれる。黒と薄い水色の2種類が有ればいいだろう。二階堂に何着ずつ必要かと聞かれる。5着ずつと答える。ファスナーの位置やポケットのサイズ等、実戦を想像しながら注文を入れて行く。髪の毛保護のフードも忘れない。

服のオーダーは1時間ほどで終わった。男は帰って行く。明日の夜には出来上がるそうだ。

代金は、武器と同じ扱いなので政府から出るらしい。


CIAとNSAからの情報では核の弾頭は、昨日の時点ではミサイル基地には運ばれていない模様。しかし、核の弾頭は存在しているという読みだ。ミサイル基地の動きは活発で、移動式の発射台にはミサイルが実装され、いつでも発射できる状態。中・長距離ミサイルの運搬もされており、臨戦態勢と言う事だ。


報酬を聞く。二階堂が一呼吸して言う。

「トンチャンニのミサイル基地を壊滅させて1000万ドル。さらにニョンビョンの核施設の壊滅で1000万ドル。約10億円ずつ、両方で約20億円で、税金の掛からない金です」

まあ、いいか。国際的な懸念を消すのに20億円は安いと思うが。

攻撃は明後日の19日、水曜日とした。


赤坂を出る。午後3時。アンに電話する。今日は同伴出勤で忙しいと言われる。

ジュリアをアルファロメオディーラーに持っていき、オイル交換をする。

ガレージで見ていたら、真っ黒なオイルが出てくる。金属粉が混じっているのが分かる。

400kmしか走っていないが、交換して良かった。オイル交換は3回まで無料という条件で買っていたので支払いは無い。


オイル交換作業を待っている間に、昨日の赤いスカートのユカから電話だ。

相談に乗って欲しいと言われる。上野に居るらしい。


午後4時。昭和通りの上野駅より少し手前でユカを拾う。

今日は黒のミニスカート。足が綺麗だ。浅草方面に少し走って車を停める。

ユカの相談とはアパートの事だった。

現金は30万円持っているが。安いアパートでも保証人がいないと借りられないと言う。

18歳と若く、仕事もあやふやなので、保証会社だけではダメらしい。

「こういうのはどうだ?・・・俺が住まいを世話してやる。その代わり俺はいつでも好きな時に、そこに行く・・なんちゃってな」

言っているうちに恥ずかしくなって最後は誤魔化してしまった。

「いいよ・・・その代わり家賃はタダで、月に15万円欲しい」

「15万円ってのは何だ?」

「光熱費が1万円。携帯が1万円。あとは服とか食費とか・・・いろいろ。12万円でもいいよ。家賃が無ければ楽だもん」

「いいよ。15万円で」

「ホント! 嬉しい」

車の中で抱き着いてくる。

「どの辺りに住みたい?」

「ここ・・・どこ?」

「上野と浅草の中間かな」

「上野に近いと楽しいね。浅草も楽しそう」

携帯で不動産情報を調べる。

下町に詳しい不動産屋を探す・・・・浅草。馬道通りの近くにあった『日本不動産』。

ここから近い。


賃貸の物件が表に沢山貼りだしてある。保証人不要なんていうのも有る。吉原から近くなので、ソープで働く子も、いい客なのだろう。

店内に入る。40代の男性が出て来る。俺の姿を足元から頭まで見る。値踏み・・・

道路に車を停めているので駐車場を尋ねる。俺のジュリアを見て態度が変わる。

直ぐ近くに駐車場があった。


机の上に、売りマンションの情報を書いてある紙を置く。

「こちらは築10年の1LDKですね。オートロックでエレベーター付きの4階です。北向きなんで日当たりは今ひとつですけど、窓が大きいので明るくて綺麗ですよ。自社物件なので仲介手数料が掛かりません。広さは40平米でお二人なら十分な広さです。収納も寝室の壁一面がクローゼットになっていますから不自由しません。買い物も千束通りの商店街がすぐですから便利です」

案内の紙を見せながら熱心に説明する。

ユカが耳元で囁く。

「賃貸じゃないの?」

「いいんだよ。ちょうど買おうと思ってたんだ」


俺の車に不動産屋も乗せて、物件を見に行く。10階建ての4階だ。

確かに室内も外観も綺麗だ。空き部屋はこの一戸だけだと言う。

ユカは大喜びだ。ベッドの位置やテレビの位置を考えて楽しんでいる。

3280万円。登記やらなんやらを含めて3300万円にすると言う。大幅値引きらしい。不動産屋はこのマンションの管理もしていると言う。管理費は1万円でネット使用料込。修繕積立金が月に1万円だ。


よし、買ってしまえ。不動産屋に買う事を伝え、ユカを置いて自宅に金を取りに戻る。

ユカには、ゴミ捨ての事や、電気・ガス・水道の開栓の事などを不動産屋に聞かせる。


午後5時。娘達はまだ帰っていない。

金庫から3400万円を取り出しバックに入れる。100万円は財布だ。

不動産屋にトンボ帰りだ。5時半前に着く。

机に3300万円を並べると不動産屋が驚く。


手続きに3・4日掛かるが、今すぐにでも入居できると言われた。

明日の午前中、不動産屋が電気・ガス・水道の開栓手続きをしてくれる。

今日はホテルに連れて行くか。

後で綾香に、今日は仕事で戻れないとメールしないと。

家具を買わなくては。上野の松坂屋に向かう。


俺の楽しみを考えてダブルベッド、15万円。

ベッドカバーや寝具、5万円。

ダイニングテーブルセット。椅子は4脚。12万円。

カーテン3セット、5万円。

キッチンや風呂場で必要なもの、6万円。

松坂屋での買い物は約43万円。明日配送だ。


ユカは『信じられない』を繰り返す。


ヨドバシカメラ上野店に移動。

2ドアの冷蔵庫と電子レンジ、10万円

洗濯機、6万円。

掃除機3万円。

ヨドバシカメラでの買い物が約19万円。これも明日配送だ。

全部で62万円。180万円が入ってパンパンだった財布が元の形に近づく。


2件での買物を終わったら午後8時になっていた。

浅草ビューホテル横の焼肉屋で、たらふく食べる。ユカのバカ男は、食べ放題の安い焼肉屋にしか連れて行ってくれなかったと言う。


帝国ホテルまで行くのも面倒だったので、浅草ビューホテルに部屋を取る。スカイツリー側の、眺めのいい部屋が5万円で取れた。


部屋に入り、ユカは俺に抱き着く。

「なんでそんなに良くしてくれるの?」

「いいか。ユカは俺の女になったんだ。あの部屋に一度でも男を連れ込んだら、お前を放り出す。男は俺だけだ・・・分かるな。その代わり、俺はユカの面倒を見る。不自由はさせない」

 完璧に、ちょっと金を持ってるジジイが女を囲うパターンじゃねえか。

 言っている自分が少し嫌になる・・・でも、いい女なんだな。18の小娘とは思えないほど。

 ユカは俺に抱き着いたまま答える。

「分かってる。ユカはオジサンの愛人でしょ?オジサンは私のパパさん」

アイジン・・・一応独身なんだけど、そういう事にしておこう。

「そ、そうだよ。パパさんの言う事は聞かなきゃいけない」

「パパ・・・今、何して欲しい?」

俺のジュニアはパンパンに膨れ上がっている。

「想像して、やってみな。当たったらご褒美を上げるよ」

ユカは俺のベルトを緩め、パンツを下着ごと下げる。飛び出すジュニア。

 バカ男の教育のお蔭か?

 

 シャワーを浴び、その後は、ベッドでゆっくりと楽しんだ。



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