第64話アルファロメオ・ジュリア

6月6日深夜

帝国ホテルの部屋に電話してきたのは二階堂だった。俺の携帯に掛けたらしいが、音を消してあり気が付かなかった。どこに居ても捕捉されてしまうのも考え物だ。

ホテルのロビーで二階堂は待っていた。

ソファーに向き合い座る。ウェイターが来るが、何も要らないと言い追い払う。

「6月10日、北朝鮮、月曜日に決行の予定です。準備をお願いします。詳しい事は9日昼までに決まります。日航の方は問題ありません」

それだけ言うと帰って行った。

俺は弓香の寝ている部屋に戻る。寝ている丸顔が子供のようだ。


6月7日 

朝8時に弓香に起こされる。

帰らなくてはと言う。9時半までには出勤しなくてはならないらしい。一度自宅に戻って着替えたいと言うが、昨日買った服のままでいいと言った。ネックレスは付けない方がいいだろうが。朝食をルームサービスで取る。軽い朝食で2人で約4000円。勿体ないと言う弓香。ルームサービスが届くまでに2人でシャワーを浴びる。Cカップサイズのオッパイの感触を楽しむ。朝食を食べ終わったら9時になっていた。バスローブを脱ぎ、服を着ようとする姿を見ていたら我慢が出来なくなり、ベッドに押し倒す。

「もう、時間が無いから・・・」

「休めないか?」

「無理・・・遅刻なら出来るけど。金曜の午後は忙しいから」

電話を掛けさせる。遅刻を告げている弓香の下着を剥ぎ取り挿入する。

弓香の言い訳の声が震える。

電話を切ると喘ぎ声に変わっていた。

10分後、絶頂の叫び・・・俺も近い。身体を離してジュニアを抜き、口に入れる。

弓香の口の中で俺のジュニアが脈うつ。驚いた弓香は口の中に溜まった物を飲み込む。

涙が流れている・・・

1時間ほど眠る。


G63で弓香を三越の裏まで送る。従業員用通用口だ。

車を降りる時に、頬にキスをして出て行く。薄いイエローの服が弾んでいるように通用口に入っていく。


自分のマンションに帰る。午前11時半。

娘達が飛びついてくる。どうせ空腹だろう。俺がいないと完璧に腹が減るまで何も食べないようだ。朝からの情事で身体がだるい。ソファーに座るとマキが俺に跨る。負けじと綾香も俺の背中にしがみつく。前後を娘達に取りつかれて動けない。

俺に抱き着いているマキは、身体にフィットしたTシャツをノーブラで着ている。乳首まではっきりと形が見える。無意識にマキのオッパイを両手で掴んで揉みながら言った。

「マキ・・・少し大きくなったか?」

マキはTシャツをめくる。オッパイがもろに目の前だ。綺麗なCカップサイズ。ピンクの乳首。綾香が後ろから俺の首を絞める。

「さわるなー!スケベジジイ!」

自分もシャツを脱ぎ棄てオッパイをもろに出し、俺の横顔に押し付ける。綾香のはDカップ以上ある。多分Eカップ。

顔の反対側にマキのオッパイが押し付けられる。

15歳の4つのオッパイに挟まれる59歳のジジイ。写真を撮りたいくらいだ。

もちろんジュニアは上を向いている。


何を食べたいのか・・・答えはもんじゃ焼き。

意外な答えだった。

仕方ない。着替えもせずに、そのままの格好だ。秋葉原に行った時のままのノーネクタイのイタリア物のスーツ。臭いが付くかと思ったが、まあ、いいか。着替えるのも面倒だ。

G63を走らせるとすぐの月島。『もんじゃ いろは本店』

娘達は明太もちチーズ。俺はシンプルなブタ玉のお好み焼き。その他いろいろ注文する。

ビールも一杯だけ。旨い!

明太子が丸々一本のっているドンブリが運ばれ、娘達は大興奮だ。

散々食べても7000円。ジャケットは車に脱いできてよかった。顔までもんじゃの臭いが移っている。


店を出て車を走らせると、目の前に赤の洒落た車が通り過ぎる。アルファロメオ・ジュリエッタ。いい・・・アルファを買おう。

車を停め、スマホでディラーを探す。渋谷区神宮前。ナビを合わせて走り出す。

綾香が聞く。

「どこ行くの?」

「車屋」

「車、また替えるの?」

「いや、多分追加だな」

「今度は白がいいよ」

「いや、赤だな」

マキが言う。

「いいかも、赤。歳とると赤が似合うって聞いた事がある」

綾香が首をかしげる。

「へんなの。歳とると派手になるのかな」

勝手に言ってろ。


目的地には30分も掛からずに着いた。

青山通り沿いで分かりやすい場所だが、ビルの中の為、看板を見落とすと通り過ぎてしまうところだった。

ショールームに入る。赤の車が並ぶ。アルファは赤だ。いや、イタ車は赤だ、という思いが有る。アルファロメオ・ジュリア。一発で気に入ってしまった。さっきのジュリエッタではない。長さ4635ミリ、幅1865ミリ。8段のAT.

営業マンがジュリアのグレードを説明する。普通のジュリアからヤンチャなジュリアまで。

一番ヤンチャな奴がいい。これしかない。ジュリア・クアドロフォリオ。

2900cc V6ツインターボから510馬力を絞り出す。ヨンクではない。FR、後輪駆動のジャジャ馬だ。エンジンは、よくよく聞くとフェラーリ製。エンジンを見たくてボンネットを開ける。軽い・・・カーボン製のボンネットだ。屋根もカーボンだと言う。

赤なら入庫したばかりで来週に納車できると言う。1132万円。即決。登録や税金等で総額約1300万円。財布には8万円しか入っていないので、ネットバンクで店の口座に振り込む。納車は6月14日だ。普通は3ヶ月待ちだと言う。だったら買わないけど。

3ヶ月も待ってる間に気が変わってしまう。


娘達は飽きてしまったようだ。

原宿に行きたいと言う。近くなので行ってやろう。その前にATMで金を下ろす。100万円を財布に入れる。

服を買いたいとねだられる。高い買い物を目の前でしてしまったので仕方ない。10万円ずつを2人に渡す。大喜びだ。

青山通りから表参道を左折し坂を下り、明治通りを右折する。ラフォーレ原宿を過ぎ、50メートルほど先のH&Mの前で降ろす。竹下通りはすぐ先だ。

2人の足取りは軽い。すぐに見えなくなった。帰りは電車で帰ると言っていた。


午後6時だ。車屋で時間を取られた。コンビニでパンを買うように車も簡単に買えれば楽なのに・・・


自然と銀座に向かってしまう。原宿や渋谷は好きじゃない。しょんべん臭い。


本当に小便が匂うのは歌舞伎町だろうが。

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