第57話 初めての白人と歌舞伎町

6月1日

娘達と遅い朝食を食べる。目玉焼きとトースト。

綾香は、やっと綺麗な目玉焼きが焼けるようになった。たかが目玉焼きとバカにしていたのだが、実際にレストランで出るような目玉焼きを焼くには時間が掛かった。

金庫の中の残金を調べる。

約32700万円と2万ドル。口座に約21億3100万円。

カードの引き落としで口座の残高が微妙に減っているが気にする程ではない。

明日は箱のテスト飛行をする予定だが、今日は何も予定が無い。

久々の吉原か・・・久々でもないか・・・まあ、いいや。行こう。

仕事の打ち合わせだと言ってマンションを出る。G63には完全に慣れていた。

幅は広いが、四角いから車幅感覚が分かりやすい。コーナーではハンドル操作からワンテンポ遅れて反応する。それほど敏感で無いのが、かえって疲れないかもしれない。あくまでもE63と比べての話だ。これはスポーツカーではなく、娘達の言う『ヨンク』なのだ。


吉原大門まで行って気が変わってしまった。ソープはヤメだ。デリヘルが面白いと昔の同僚に聞いたのを思い出す。スマホで『デリヘル』を検索すると、風俗の総合サイトのようなのが沢山出てくる。面倒なので取りあえず、近くの浅草ビューホテルに部屋を取る。

部屋で、じっくり良さそうなデリヘルを探す。白人が来るデリヘルが目に飛び込む。

今まで人生で一度も白人とやってない・・・人形の様な顔の21歳だが、オッパイとお尻の迫力が日本人と違う。ロシア人だ。予約の電話・・・禁止事項をいろいろと聞かされる。

約30分で行くと言われ、ソワソワと待つ。ひたすら待つ。時間が経つのが遅い。

電話が鳴る。ロビーにいると言われエレベーターでロビーへ降りる。

遠目で見ても可愛い。金髪が目立つ・・・目立ちすぎ。声を掛ける。

青い目が俺を見る。

「ワタシデ、イデスカ?」

もちろん良いです。最高です。

一緒にエレベーターに乗る。エレベーターの中でキスしてくる。

こっちは爆発寸前だ。落ち着いている素振りを見せるが、呼吸が荒いのが自分でわかる。

部屋に入って抱き着くと

「スミマセン ヤナコト サイショネ・・・オカネ オネガイシマス」

嫌なことは済ませてしまおうと。はいはい、すぐに払います。

彼女が金をバックにしまう。

まず一緒にシャワーを浴びるのだと言う。了解!

けつまずきながらズボンを脱ぎ棄て、シャツを脱ぎ、パンツも脱ぐ。ソックスを始めに脱がないとマヌケだと綾香に言われたのを思い出すが、今、残っているのはソックスだけだ・・・脱ぐ。彼女は笑っている。

身体中を洗って貰い、ベットに移動して、さあ今度は俺の番。

「ホンバン ダメネ・・・ヤクソクデショ・・・クチダケヨ」

「何で・・・ダメなの?口だけ?」

 追加の支払いが要るようだ。

OK!OK!・・・ えっ、先払い?ちょっと白けるが仕方ない。

金持って無いで本番するやつもいるんだろう。

真っ白な肌と青い目、金髪にマイッテしまい。すぐに終わる。まだ時間の半分だ。

ちょっと腹が減る。ルームサービスに電話。一番早く持って来れるもの。

サンドイイッチ・・・結構。 待つ・・・30分。遅いじゃねーか。やっと到着。

急いで食べる。ロシア娘も一つ食べる。

あと10分しかない。

「エンチョー シマスカ・・・シャワーノ ジカン ナイネ」

「エンチョー・・延長ね。いいよ」


腹も満ちて元気百倍だ。30分後、彼女は目を剥いて横たわっている。

シャワーを浴びろと起こす。

今日はもう仕事が出来ないと言う。一緒にいてもいいかと。まあ、いいか。

1時間ほど一緒に眠る。ロシア娘が起きて腹が減ったと言う。何が好きかと聞くと焼肉。俺も焼肉とHは好きだ。


浅草ビューホテルを出て右へ。浅草キラク苑。和牛が滅茶苦茶旨い。

2人で腹いっぱいに食べる。22000円也。

日本に来て一番旨い焼肉だったと。感激している。

ホテルの部屋に戻ってもう一回戦だ。話をしながら、マッタリと楽しむ。金は請求されなかった。それでも合計で10万円は渡している。

シャワーを浴びてホテルをチェックアウト。お別れだ。午後8時。

銀座に行こうかと思ったが、今日は土曜日だ。クラブは休み。

歌舞伎町にでも行ってみるか。G63を新宿に向ける。


靖国通りから区役所通りに入る。坂を下り風林会館の前を通り過ぎる。左側のバッティングセンターの先が駐車場だ。 G63を駐車場に止め、歌舞伎町の元コマ劇場の方へ歩く。今はゴジラがそびえ立つ東宝ビルだ。劇場前広場、今のシネシティ広場の前を歩いていると客引きだ。今は条例で禁止されている筈だが、客引きらしき連中はいたるところに居る。

「2000円、飲み放題です・・・若い子がいますよ」

還暦近いジジイが一人で歩いていれば、いいカモだろう。

「2000円?・・・女の子のドリンクは?」

「レディスドリンクは一杯1000円ポッキリです。テーブルチャージ無し」

20代前半の客引き。ホストクラブでは売れない顔だ。茶髪が似合ってない。

面白半分に付いて行く。狭いエレベーターに乗る。雑居ビルの6階。

ボーイが一人だけ。客引きは帰って行った。次の客を捕まえるのだろう。

店内はテーブルが4台だけ。女の子は5人。化粧が濃い。どう見ても30代から40代。1人だけ20代後半か。全員が俺のテーブルに着く。テーブルの上には鏡月。これが飲み放題か。まあ、いいか。お得意の納得の仕方。女の子にドリンク一杯ずつ。1時間で飽きる。酒も不味いし女の子の話も詰まらない。接客する気が無い。

お勘定・・・ボーイが紙切れを俺に渡す。『850000円』。

見間違えか・・・ゼロを数える・・・4個。ボーイが言う。

「85万円です。カードでもいいし、コンビニも近いけど」

ボッタクリって奴か。こういう風にやるのか。妙に感心。女達はニヤニヤと笑いながら俺を見る。

「飲み放題が2000円。女の子の飲み物が5杯で5000円。7000円の間違えじゃないの?」

「ジジイ! 女5人相手に飲んで7000円で済むわけねえだろ!」

怒鳴る。それが合図か、奥から男が3人出てくる。お決まりのチンピラ顔。

チンピラの1人が俺を見下ろし威嚇する。顔が近い。

「オッサン、会社員か年金暮らしか知らねーけど、気持ちよく払って帰ろうよ。怪我したくないでしょ」

眉毛が細く沿ってある。夜なのに薄い茶色のサングラス。怖い顔だ。

こういう奴らはちちょっと痛い目に合わせないと。

ちょっと暴れた。ボーイを入れて4人の男は両手両足を折った。小便を漏らしている奴もいる。女5人には口を開けさせて鏡月をボトル半分ずつ流し込んだ。20代に見えた一人は、テーブルに上体を伏せさせ後ろから尻を思い切り叩いた。

やりすぎたかな・・・まあ、いいか。



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