第19話 泥棒
目が覚める。
ベッドサイドの目覚まし時計を見ると10時だ。左横を見ると綾香はまだ眠っている。
最近は当たり前のように俺のベッドで寝ている。パンティとTシャツだけだ。
Tシャツは腹の上までまくり上がり、胸の膨らみの下半分が見えている。
そっとTシャツを引き下げる。
ゆうべは、市ヶ谷から帰って、綾香が買って来ていた菓子パンをたべて寝てしまった。
考える事はいろいろあるが、大抵の事は気にしなくなっていた。ケセラセラ。
ベッドから這い出してシャワーを浴びる。
バスルームから出てくると、綾香が朝食の準備をしていた。
コーヒーとトースト2枚。ソーセージを2本ずつ。
Tシャツとパンティのままだ。いつもの事だが。
ダイニングテーブルで向かい合い、遅い朝食を取る。
「明け方さ、腰痛いってウルサかったよ」
覚えていない。
「そうだったか?」
「腰、揉んであげようか?」
隠岐の島での下着姿が甦る。
「たのむ」
腹が膨らんでいれば、腰の痛さや膝の痛みも感じない・・・・でも揉んで欲しい!
綾香のマッサージ。
綾香がうつ伏せになった俺に股がる。
ボクサーパンツ一枚の俺の腰から背中にかけてマッサージを始める。
下手くそだ。でも、おれの太股あたりに乗った綾香の尻が気持ちいい。
5分もすると疲れたと言って、おれの背中にうつ伏せた。
背中にチチが・・・俺の股間はビンビンだ。
「バッテリーはビンビンだぜ🎵」
こんな歌があったな。思わず口ずさむ。
午後になって綾香が出掛けると言う。
中学時代の友だちと会うらしい。
夕食も一緒に食べて、夜9時位には帰ると言って出ていった。
今は午後2時。やらなければならない事を考える。
取り敢えず、稼いだ金を整理しなくては。
銀行口座の金40万円も合わせて89800万円。それが今の全財産だった。
別に財布には30万円程はいっているが。
次は、車の検査だ。GPSが仕掛けられていないか確かめなくては。
車を買ったメルセデスジャパンの担当者に電話する。
下回りまで完全に調べるためにはジャッキアップした方が確実だろう。
ノーネクタイのスーツ姿で駐車場に降りる。
濃いグリーンのアルマーニ。
調べた結果、2個のGPS発信器らしきものが見つかった。グローブボックスに入れておく。
下回りの点検と言うことで1万円を置いてきた。
国道に出た所で、長距離を走っていそうな大型トラックの後ろに付いた。信号待ちで止まった時に、トラックのバンパー下部にGPSを2つとも着けた。磁石で簡単に着く。
路肩に車を停め、銀座のアンに電話する。
今日は忙しいと言って謝ってきた。同伴出勤だろう。 今、美容院だと言った。
綾香の下着姿が、目に浮かぶ。
この気持ちをどうにかしなくては。
簡単な方法があった。俺には金がある。
吉原のソープに電話する。
指名を聞かれたが、前回の子の名前は覚えていない。今のところ空いていると言うので、到着してから写真で選ぶ事にした。
かわいい子だ。
AKBでも投票で3位以内に入りそうな位に。
そんな子が、あんな事も、こんな事もしてくれる。
ところが、何と言うことか、おれの股間のモノが、うなだれてきた。
いかん・・・腹が減っている。
中断!
寿司の出前を取って貰う。
女の子の身体を触りながら出前の到着を待つ。特上寿司4人前は30分後に届いた。
2人で裸で寿司を食べる。
間抜けな絵だな。
腹が満ちて横になって休んでいると、女の口撃が始まった。
「もうちょっと休もうよ」
「でもね、あと30分しかないの」
「じゃあ、延長でいいよ」
「ダブルでいい?120分延長!」
OKした。150分間ゆっくり楽しめる。
だらしないスケベジジイだと、俺の事を舐めていた女は、150分後には完全にダウンしていた。
この後の客を取るのはムリだろう。
寿司の代金と合わせて176000円。
ソープの駐車場でクルマに乗る。
従業員2人が深々とお辞儀をして見送ってくれる。
スーパーで、適当な食料と飲み物を買い、帰宅した。
玄関ドアを開けようとすると、鍵が開いている。
綾香の帰っている気配は無い。
リビングを見渡し、なにも変化が無いかを確かめ寝室に入る。
クローゼットのドアが半分開いている。
冷や汗が背中を流れた。
クローゼットのドアを開け、凍りついた。
中の金庫のドアが開け放たれ、有った筈の札束が消えている。89760万円!
その場に座り込む。
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