第13話 竹島
2019年5月
綾香は俺の超能力を知っているので、目の前でも訓練ができる。
ここ何日かは部屋の中で念力のトレーニングをしている。
始めの頃は小さな物を少し動かすだけでも空腹に悩まされたが、いまでは地上に立っている綾香を、楽に40階のベランダまで持ち上げられる。
飛行訓練でも、空腹になるまでに飛べる距離が飛躍的に伸びた。
空気抵抗の少ない上空1万メートルまで上昇すると10分で400km以上も飛行できる。マッハ2に相当するスピードだ。
但し、空気が薄い為、10分毎に高度3000メートルまで降下して、酸素の血中濃度を上げる必要がある。3分間3000メートルを維持すれば、再度10000メートルまで上昇して10分の飛行ができる。
因みに高等3000メートルでは音速に届く手前で革スーツも破れてきそうになる。
銀行強盗に発砲されて穴の開いた皮スーツは新しいものに変えていた。
綾香に夜の遊覧飛行をせがまれ、何度も東京近郊を飛んだ。
遊覧飛行では綾香をおんぶするかたちで飛ぶ。普通の服装なのでスピードも出さない。
お蔭で、上空から見る地理にも詳しくなった。
飛行中、感動すると声をあげてしがみついてくる。背中に押し付けられる綾香の胸が何とも気持ちいい。Dカップはあるだろう。
未成年の綾香には手を出さないと、心に決めている。
そんな事は知らずに、たまに俺のベッドに潜り込んでくる。
自制心も鍛られている訳だ。
毎日、夕食までは部屋でトレーニングをしたり、綾香と買い物や映画を見たりしている。
夕食後は仕事だと言って出掛ける。
夜の遊びもオジサンの栄養源だ。
ある朝、Eメールをチェックすると、「竹島」というタイトルのメールが届いていた。
フリーアドレスだ。日本国内からなのは間違いないだろう。
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差出人 「憂国の志」
前略
銀座にて、当方の知り合いが貴殿を紹介頂き、ここに問い合わせをする次第です。
本日より約1週間後に日本国領土である島根県「竹島」に韓国大統領、ムン・ジェィン氏が上陸の模様。
上陸を阻止、又は竹島を上陸不可能な状態にされたし。
日本が関与していると思われる、一切の証拠を残さずに遂行されたし。
報酬金額の連絡をされたし。
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すぐに返信する
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メールを拝見しました。
依頼を引き受けます。
報酬金額は5億円。
前金で30%の1億5千万円
成功報酬が作業終了翌日に3億5千万円。
支払い方法は手渡し。場所はこちらで指定。
以上です。
返答をお待ちします。
「虎」
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こっちの呼称を思いつかず「虎」にしてしまった。
あとは待つだけだ。
現在の所持金 40000万円
凄い勢いで減っている。
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