第73話 鬼

 カラフルな体色をもつ人型のモンスター、様々な形状な角を持ち、怪力で暴れる困った種。

 主に人に退治される。


 一説にはバイキングだとも言われる。

 赤ら顔、体毛は濃く、赤毛、角を携えた兜を被って棍棒を振り回す。

 まんまである。

 そのうえ酒好きでたき火を囲んで宴会しちゃう。

 昔話の通りではなかろうか?


 酒呑童子も、こんな外人だったのかもしれない。

 帰れなくなって日本に住みついたバイキング、当然、日本人とコミュニケーションなどとれるわけもなく、ただ力で食べ物を奪う…そして討たれる。


 思えば悲しい歴史なのかもしれない。


 心を通わせた村の娘が病気で死んで、それを悲しんで娘を想う唄を歌う鬼の話がある。

 島に住みつき、討たれ財宝を奪われる鬼退治の話もある。


 見方を変えれば、鬼とは実に憐れな存在だったのかもしれない。


 鬼の昔話は各地に多く残されている、それだけ当時から海外の人達は日本に流れ着いていたのかもしれない。


 その多くは幸せとはいえない最後を迎えたわけだ。

 僕は悪鬼というか異国の地で必死に生きようとした姿こそ鬼だったと信じたい。

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