第64話 魔女

 黒魔術を操る悪魔と契約した女性…なのかな?


 漠然と魔女といっても、そう呼ばれた女性は多く、その理由も様々。

 ジャンヌダルクも魔女と呼ばれたし、ホウキに跨って夜空を舞うだけが魔女ではない。

 薬草の知識に長けた女性も魔女と呼ばれた。

 まぁ、魔女とは浮世から離れた女性の総称だったのかもしれない。

 良いも悪いもない。

 嫉妬、恨み、妬み…そんな矛先を向けられ、何人の女性が処刑されたのであろうか?

 社会に、その能力を疎まれた才女も少なくないのではないのだろうか?

 その容姿を妬まれただけの女性…その才を潰された女性、それが魔女だったように思える。


 人里を離れ、山に籠り静かに暮らしていた女性の元に親に捨てられた兄妹がやってきた。

 女性は子供達に食事を与えた…ところが、兄妹は…その女性を殺害して財産を持ち帰り、魔女を殺した勇敢な子供として幸せに暮らしました…

 ヘンゼルとグレーテルである。


 つまり…その時代の事件が元ネタになった童話なのだという。

 山に住む資産家の老婆を殺して財産を奪った話なわけだ。


 魔女と認知されれば、殺しても許される時代があったのだ。

 民意が人を裁いた時代…。


 魔女は民意が産んだ悪魔なのだ。

 女性を生贄にして、民意が悪意に獲って代わり憑依した悪魔。


 魔女を産み出したのは集団になった民意と言う名の悪意を向けられた女性だったと思う。

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