第27話 タイムスリップ

『時間滑り』

 文字に起こせば大事故だ。

 仮に、時間軸というものが物理的に存在するとして…そこから滑って、別の時間へ移動したという解釈でいいのだろうか?

 本来いるべき今から未来、あるいは過去へ飛ばされた人、もしくは現象のことだ。


 選べるとしたらどっちに行きたいだろうか…などと考えるのは、戻って来られるという甘い考えがあるからだろう。


 サンジェルマン伯爵は未来から過去へ時を超え中世に現れた男として有名だ。

 彼は自由に行き来できたのだろうか?

 その場合、彼は老いることも、若返ることもないのだろうか?

 時間を超えるということは、時間軸から外れることで、外れている状態の時には老いは無いと過程して…寿命は時間軸に戻ったときだけ年齢を重ねる?

 そもそも、彼は何のために未来に行き、過去でソレを伝える必要があったのか?


 存在そのものより、その真意の方に疑問を感じてしまう。


 過去から未来へ飛ばされた人がいたとして、ソレは楽しいことではないだろう…よくあるSFで侍が現代へ…正気が保てるだろうか?

 現代人が江戸時代へ、何を口走っても処刑なんじゃないだろうか?

 どちらのパターンも、そもそも暮らせないだろう。


 いきなり殺されないであろう過去から現代へのほうが安全かもしれない。

 犯人不明の通り魔とかいたら、侍がやってきて戻って行ったとか…。


 時間が規則正しいとは思ってない…が…滑り落ちるなんて考えられない。

 まして元の場所へ戻れるなんて在りえない。


 人が生きるベースが時間ならば、それは人生と同じ…

 ズレたら戻れない。

 過去には戻れない。

 未来は確定していない。


 タイムスリップは矛盾した考え方なのだ。

 過去も未来も、すべてが確定され、それ以外の可能性を淘汰している場合のみ起こり得る現象ということになる。


 サンジェルマンのように未来を過去で話すなど、在り得ないのだ。

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