第60話 輝くラディラブ

 ベンチにすわるミツキは、噴水をながめていた。

 左手に向かって声がかけられる。

「ずっと一緒いっしょ?」

『人間には寿命じゅみょうがあるので、それはできません』

「だよね」

 物悲ものがなしさをただよわせる少女。宝石ほうせきがかける言葉はない。

一緒いっしょに帰らない?」

風邪かぜをひかないようにしないと」


 マユとサヤカがベンチにすわる。三人の雑談ざつだんが始まった。

 宝石ほうせきが会話に加わっていることは、普通ふつうの人には分からない。

「すっかりれたけど、よく考えたら不思議ふしぎ

「ほかに、ラディラブっているのかな?」

宝石ほうせきはひとつではありません』

「みっつあるからねっ」

 得意とくいげな顔をするミツキ。しかし、メソンが否定ひていする。

『いえ。シューとギアとメソン、この個体以外こたいいがいにもあるということです』

「えー?」

 同じような高い声を上げ、驚く三人。動揺どうようした様子で、マユが口を開く。

「どうしよう。もし、大変なことになっちゃったら」

大丈夫だいじょうぶだと思うよ。念動ねんどう素質そしつは、お人好ひとよしに多いから』

 シューに対して笑うように、ギアが1回光った。

「なんだか、似てきた?」

 口元をゆるませるサヤカに、マユが目で合図する。ふたりが立ち上がった。


 満面の笑みで、マユとサヤカが同時にかまえた。

 すでに宝石ほうせきんでいる。それぞれの相棒あいぼうの前で、まるいケースを生成せいせいしていた。

「お願い。シュー!」

「いくよ。ギア!」

 かざされたケースの中心で、ピンクの宝石ほうせきかがやく。

 サヤカの手では、ライトブルーの宝石ほうせきかがやく。

 シューに合わせて宣言せんげんする二人。

『エックスカラット』

「エックスカラット」

 水色みずいろ宝石ほうせきは、いつものように1回だけ光った。

 ピアノ中心の音楽とかさなって、打楽器中心だがっきちゅうしんの音楽がハーモニーをかなでる。

 光に包まれる二人の少女。

 やさしくはなやかな音とともに、服が変化していく。マユは桃色を基調きちょうとし、白い部分の多い服装に。

 サヤカは水色を基調きちょうとしつつ、白い部分が多い。どちらも、ひらひらとしたかわいらしい服装ふくそう

 それぞれのスカートがゆれる。移動ポケットの飾りとして、宝石ほうせきがくつろぐ。

 マユにけんのような形の髪飾りがつく。後頭部が小さく束ねられた。

 サヤカにつばさのような形の髪飾りがつく。耳の上が、ふたつ細めに結ばれた。

 変身へんしん完了かんりょうして、ふたりが笑顔で決める。

「ラディラブ・ピュア!」

「ラディラブ・アレンジ」

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カラット・ラディラブ 多田七究 @tada79

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