第40話 見える者たち

 水色のかけらを手にする、アレンジ。

 もとの色を取り戻したプールに、こわれたところはない。満足まんぞくそうな二人。かくれて変身へんしん解除かいじょする。

 ロッカーに行こうとするマユとサヤカを、シューが制止せいしした。

ちからつよものにしか気づかれないように、ねんじて』

 ギアが1回光った。

 ケースが消え、髪飾りとして頭についた宝石ほうせきたち。かけらは一体化していない。さりげなくまぎれていた。

 二人がおたがいを見て、笑い声をあげる。


 怪物かいぶつあばれたというのに、さわいでいる人はいない。

 みんなのもとへ戻る途中で、知り合いの女性がいることに気づく。ミツキと親しげに話している。

「スタイルいいなあ」

年齢ねんれいが違うでしょ」

 うらやましがるマユを、サヤカがフォローした。

「ねえねえ。ほら、ネモトさん」

 自慢じまんげに紹介するミツキ。つづいて、ネモトが二人に気づいた。やわらかな笑顔を見せる。


「なに? ネモトさんと仲良くなったの?」

「ちょっと、いいことがあったんだよ」

 口元を手でかくして笑いをこらえているようなミツキに、マユとサヤカが顔を見合わせる。

 レンマがプールサイドに戻ってきた。

「何かあった? 大丈夫だいじょうぶ?」

「ネモトさんがいたから、だいじょうぶだよ」

 嬉しそうな少女から目を離す。なつかれている女性のほうを、少年が見据みすえた。

「こんにちは」

「仲よくしてあげてください」

「おーい」

 コウヘイに呼ばれ、返事をするレンマ。三人のもとへ歩いた。まだ泳ぐ練習をすると言うカナエと、すでにプールに入っているメグミ。

 何かを考えるような表情は、水でよく見えなくなった。レンマがきれいな泳ぎを披露ひろうする。

「ん?」

 マユとサヤカが、ミツキにやたらと顔を見られて不思議ふしぎがっている。

 なんカラットかな? と思うミツキは、何も言わなかった。



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