第28話 かさなる思い

 二人が同時に構えた。決め顔になる。

「お願い。シュー!」

「いくよ。ギア!」

 マユがまるいケースをかざし、ピンクの宝石が輝く。

 サヤカも同じように動き、ライトブルーの宝石が呼応する。

『エックスカラット』

 桃色の宝石が言う。水色の宝石は1回だけ光った。

 ピアノ中心の音楽と重なって、打楽器中心の音楽が鳴りひびく。

 光に包まれる二人の少女。表情も明るい。

 はずむような高い音とともに、服が変化していく。マユは桃色を基調とし、ひらひらとしたかわいらしい服装へ。

 サヤカは水色が基調。すこし落ち着いて見えるものの、ふくらんだ肩やフリルで彩られているのは同じ。

 マユの手首に布が巻かれる。ソックスとともに、靴も変わった。

 身体に沿って伸びる水色。長袖の先が、カフスに姿を変える。オーバーニーソックスが現れ、靴もりりしく変化。

 ピンクのスカートをゆらし、移動ポケットの飾りとして、シューがおさまる。

 ライトブルーのスカートをゆらし、移動ポケットの飾りとして、ギアがおさまる。

 前髪がふわりと動き、剣のような形の髪飾りがつくマユ。うしろ髪はそのままで、後頭部だけ小さくひとつに束ねられた。

 サヤカには、翼のような形の髪飾りがつく。長いうしろ髪は手が付けられず、耳の上でふたつ細めに束ねてある。

 二人の変身が完了した。ポーズとともに名乗りを決めて、和音がとどろく。

「ラディラブ・ピュア!」

「ラディラブ・アレンジ」


 ぶつかる念動。泡のようなものが広がり、幻の世界になる。

 限られた者だけが侵入した。


 巨大な領域りょういきは、はるか上空まで達している。

「ノーシスに、人が?」

「あなたは誰? どうやって、その力を?」

 おろおろするピュアに代わって、アレンジが質問をぶつけた。

「名前は必要ない。やれ。ゲーセーマ」

 へんな声の白い少年が、手を動かす。といっても、二人にはモザイクがかけられたようでよく分からない。巨大な怪物が動き始めた。

「あれがゲーセーマだから、ゲー」

『合理的ではあるね。センスはともかく』

 上から迫る巨大なアイロンを、ピュアがうしろへ跳んでよけた。怪物のそばから、少年が問いかける。

「力の何を知っている?」

 ゲーは戦いに参加しない。ひたすら語りかけていた。

 応じようとしたピュアを制止する、アレンジ。二人は、ゲーセーマとの戦いを優先する。

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