第27話 新たな怪物
放課後。
「あれ? 何か、光ってない?」
薄手の服に着替えたマユが、振り返った。
『何色?』
「桃色」
のばされた人差し指の先には、クリーム色の壁が見える。普通の人には。
『せいかい。
説明の途中で、シューは移動ポケットに入れられた。
光のイメージを目指し、マユが走る。
闘争とはほど遠い、穏やかな住宅街であたりを見渡す少女。声がかけられる。髪の長さの違う二人が出会った。
「サヤカも、見たんだ」
「やっぱり、あれはかけらのイメージ」
うなずいた少女の手で、水色の宝石が1回光った。
「意外に早いじゃないか」
へんな声が、いつのまにか道の真ん中にいた何かから発せられた。すこし離れて立つそれは、白い。ゴーグルをつけた白い服の少年が、裁断された情報の奥で笑う。
空間が細かく横に分かれて、ざらついている。二人には、姿がはっきりと見えない。
「カラットはぼくのほうが上。君たちには正しく認識できないはず」
ノイズがかかったような声からは、感情があまり伝わってこない。
「誰? っていうか、人?」
「ああ。リョウが情報を出してないか。ガイロンで使っている、念動の力の単位だ」
「何が目的?」
サヤカの問いに答えず、少年が手を動かす。家の中から女性が浮かんで移動してきた。マユは、驚いた表情で眺めることしかできない。
道に、主婦らしき女性が倒れた。
「心を見せろ、ゲーセーマ!」
桃色の宝石のかけらが宙を舞う。横たわる女性に当たると、黒く染まった。
一瞬の静寂を残して、
これまでの怪物とは違うものが現れた。全長が約10メートルの異形。ゲーセーマ。
二階建ての家を見下ろす高さに、二人が息をのむ。
セーマとの違いは、大きさだけではない。複数のモチーフを左右非対称にまとう。服やアイロンのほか、木や花が混じっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます