第24話 ならぶ願望
うなりを上げる巨大な腕を、光が止めた。
背には緑。破壊を
「ずっと、一人で戦うって言い続けてるのに」
「それでも!」
「なぜ、助けるの?」
「同じ気持ちだから!」
水しぶきを上げ、セーマにふたつの光がぶつかった。
火花が激しく散り、水が舞う。
矢のように素早く動いても、とげに阻まれてうまく攻撃できない。水色の光が黒い足を踏みつけた。
「力はともかく、考えは違うでしょ」
「わたしも助けるために、全部一人でなんとかしようとした。優しいから」
桃色の光が胸にぶつかり、セーマが後ずさる。目を見開いたアレンジが元の表情に戻って、何も言わなかった。
「わたしもアレンジの力になりたい。だから、一緒に戦おう!」
雨のなか、雲の切れ間から差し込む光。明るい顔の二人が、怪物と対峙する。
「仕方ないから、合わせる」
アレンジが、黒い巨体の背中側に回り込んだ。照れた表情を隠しながら、ひざの後ろを攻撃する。
ぐらついた怪物に、すかさずピュアが追撃。腹で光がはじけて、セーマを吹き飛ばした。
シューには分かっていた。二人の念動の高まりが。
『同じじゃなくてもいい。思いを束ねるんだ』
ひらめきを顔に出したピュアが、アレンジに近寄る。
「決め技を使おう! 二人いっしょに」
「わかった。やるなら早く」
「最初に言うから、次に何か言って。組み合わせるの」
「いいから、始めて」
二人がならんだ。力の高まりで、かわいらしい服が波うつ。肩までの髪と背中に届く髪も、風でなびくように揺れている。
「アロングサイド!」
「デザイアー!」
構えた手がきらめく。光と波が同時に渦を巻いた。
まっすぐほとばしるのは、川の流れよりも強いうねり。二人で協力して放った光が、セーマを包む。
消えていくかがやき。黒い服の男が仰向けに倒れている。ノーシスが消えていく。
すでに、元の世界では雨が止んでいた。
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