第22話 黒い心
しとしとと
「よーし。そろそろ」
『かけらだ。近いよ』
「近い! ん? かけら?」
『セーマになる前の、
にぎる手のなかで、ピンクの
「これまで、
『この前ので、わかるようになったよ』
まるいケースに乗った
「そのときに言ってよ」
『必要があるのは、今でしょ。かけらが増えてきたね。そろそろ入れ物が――』
かけらとともに
シューは、記憶を取り戻したことで、近くのかけらを
にごった流れが見えてきた。坂を下り、大きな川を見渡す。まだ、緑の
「どっち?」
『うしろ』
振り向いたマユは、サヤカと目が合った。
「こっちだって」
サヤカもまるいケースを持っている。白っぽい。ライトブルーの
「ギアも、近くのかけらが分かるんだね」
『右』
二人が川下を向く。
セーマはまだいない。
雨。
「どいつもこいつも、人間は
落ち着いている様子のリョウに、マユが話しかける。
「なんで、そんなことを言うの?」
「これが
答えはない。雨が降っているはずなのに、ひどく静かな時間が流れた。
「
『人間の心は、じつにキョウミぶかいね』
「人には向き不向きがある。それだけのこと、でしょ?」
サヤカの言葉も、リョウには届いていないようだった。
「おれの
「目的は何?」
やはり、答えはない。
マユは
「心を食らえ、セーマ!」
右手に桃色。左手に水色。ふたつのかけらを手にしたリョウが、
黒く染まるかけら。
そして、セーマが現れた。これまでよりひとまわり大きい。全長は約6メートル。
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