第13話 誰のために戦う

 ピュアが、きりっとした顔で言う。

「どうすればいい?」

気合きあいがあれば、なんでもできる』

「入れてください」

 悲しそうな顔で手が合わされる。情けない声とは裏腹うらはらに、変化はすぐ起こった。

 そびえたつあわのような壁が迫ってきて、ピュアを通り抜ける。


 思わず閉じた目を、いさましく開いたピュア。ノーシスへと入ったことを理解りかいした。

 いままさに怪物かいぶつが吹き飛んで、まちが壊れている。


 体勢たいせいくずしたセーマに、追い打ちが決まった。

 ジャンプからのキックで光がほとばしる。黒い巨体が転がり、激しい音とともに粉々こなごなになる噴水ふんすい公園こうえん縦断じゅうだんするタイルも壊れ、道としての役割を失う。

 木々をなぎ倒して止まったときには、すでにわざかまえられていた。

「ラディラブレーザー」

 水色を基調きちょうとした服装の少女が、手のひらから光線を発射はっしゃした。

 ノーシスでは普段とすこし色が違う。それをさらに照らす明かり。水流のように見えるかがやきが、木よりも大きな怪物かいぶつへと注ぎ込まれる。

 強い光に包まれて、セーマが消えた。

 ノーシスも消えていく。

 髪の長い少女は、悠然ゆうぜんと構えている。うしろ髪は束ねていない。耳の上あたりから、細いツインテールがぴょこんと出ていた。

 なびく髪。あまり見えないひたいの左に、羽のような形の髪飾りをつけている。

 移動ポケットには、水色の宝石。Vの字に似た形で、下が割れてふたつに分かれていた。

 水色の宝石ほうせきのかけらが、少女のもとへ飛んでいく。


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