第9話 ガイロンの企み

「ウザイな。念導師って奴は」

 倒れているカナエの近くから、高校生くらいの男が姿を見せた。黒を基調とした服装で、厚着。

「ねんどうしじゃなくて、ラディラブ!」

「この程度の心じゃ、役に立たないか」

「誰?」

『だれ?』

 ピュアとシューが同時にたずねた。ただ、感情には温度差がある。

 伸びた髪の下で、メガネが光った。男が不敵な笑みを見せる。

「リョウ。名前よりも、いろいろ伝えなきゃいけねぇ。めんどぉくせぇけど」

『くわしく』

「ガイロン。おれのいる組織が、世界を闇で覆い尽くすべく……なんだっけかな」

「なんではっきりしないの」

 眉に力を入れたまま警戒している、ピュア。あちこちにフリルのついたかわいらしく目立つ服装なのに、話しかけるのはリョウだけ。

「んで、黒いのはセーマ。宝石のかけらを使い、念動の力が弱いものをどうたらこうたら」

『だいたいわかった』

 ピュアは落胆の表情を隠さない。

「つまり、念導師が邪魔だとさ」

「ラディラブ・ピュアがそんなことさせない!」

 強い口調で言い切った。ピュアは動じていない。

 返事をせず、ほとんど右目が隠れたような男が去っていく。髪は肩に届いていなかった。


 しばらく固まっていた桃色の少女が、はっとした顔になる。

 その場で変身を解除。茶色を基調とした普段着へと戻って、駆け出した。

『追わなくていい、って判断だね』

 カナエに近づくマユには、その言葉が耳に入っていないようだった。

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