第4話 放たれた光

 迫る大きな怪物かいぶつ。目が合った。

「どうしよう」

『この空間、ノーシスは幻。こわしても現実げんじつにエイキョウないから、こうげきあるのみ』

「攻撃って言われても」

 黒い怪物かいぶつが腕を振り下ろした。自動車じどうしゃがぶつかるほどの衝撃しょうげきがありそうに見える。

 ラディラブ・ピュアは、んで軽々とよけていた。

「高いよ。怪物かいぶつより」

『お? このままいっちゃう?』

 シューの期待とは裏腹に、ピュアは民家のベランダで尻もちをついた。

 ふたたび狙われる少女。慌ててジャンプする。

 真新しい家が、怪物かいぶつのパンチで無残むざんに壊された。

「ひどいことしないでって、言ったのに!」

 別の家の壁でいったん止まるピュア。勢いよく蹴って、右腕を突き出した。光が軌跡きせきを描いて、怪物かいぶつの胸に命中する。

 当たった瞬間、桃色の少女は理解を終えていた。

「ごめん。そんなつもりじゃ」

 黒い怪物かいぶつが吹き飛び、家が破壊はかいされていく。二軒目に埋もれて、ようやく止まった。


『ここできめよう。ピュア』

「これ以上壊すのは、ちょっと」

『思いを光にかえて、ハッシャ。きめわざだ!』

 安心した表情のピュアが、まゆに力を入れる。

「ラディラブビーム!」

 のばした右腕から放たれた光は、一瞬で怪物かいぶつに届いた。幻の世界のおかげで、はっきりと、異質いしつに色づく。

 ピュアが手のひらに力を入れ、増す輝き。雲の切れ間からのぞく太陽の光よりも強く、照らしつづける。

 光に包まれて輪郭りんかくが見えなくなっていく。怪物かいぶつが消えた。

『それはたぶん別のメイショウだけど、言わないほうがいいだろうなあ』


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