お題【道/路】 迷子
俺も迷子になったことあるよ。近所で突然帰り道がわからなくなって泣いてたら、知らないお兄さんが声をかけてくれた。
よくわからん話の後に名前を聞かれて、俺「はーとちゃん」って答えた。俺、はるとってんだけど、デコにハート型のあざがあるのな。子どもの頃ははーとって名前だと思ってたの。
手を引かれて歩いてたらさ、いつもの道が曲がり角の向こうに見えた。俺、喜んで走ったの。振り向いたら、お兄さんはいなかったんだ。不思議だろ。
で、お前はどこから来たの。名前は?
はーとちゃん。
そう言うと、迷子は走り出した。角の手前でこちらを向くそぶりをみせ、煙のように消えた。
振り向く寸前、風が迷子の前髪を揺らし、その額を僕に見せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます