リザとの誓い

 アンが、犬山をという女性を見た。

 再度、犬山はひざまずく。


「リザは?」

「ご存命です。今でもバロールからフランスを守っています」


 当時の若さこそないものの、リザは未だに力を蓄えているらしい。


「フランスを守ってくれてありがとう、と伝えて」


「今すぐ、伝えられますよ」


 犬山が言うと、アンは首をかしげた。


 察したらしい犬山は、石版らしき板を操る。

 石でできているにしては、妙に軽そうだ。


「冗談に思うかもしれませんが、この板を通じて、リザさんと話ができます」


 アジトにいるリザと、話ができるらしい。


『やあ、アン。随分と久しぶりじゃないか』


 板に映っているのは、間違いなくリザだ。

 仕組みは分からないが、どうやら、この板の中に閉じ込められているわけではないらしい。


「リザ!? 相当未来に来たけれど、まだ生きていたのね」

『ああ、この通りさ。一線は退いたけどね』 


 板に映るリザは、まだ若さを保っている。が、もう高齢で戦えない。


「まだまだ話し足りないけれど、行かなきゃ。バロールの始末をするわ」


『あんたなら、そうするだろうね。こっちに取り残されたら、仕事の世話してやるよ』


「ウフフ。期待しないでおくわ」



 積もる話はあるだろうに、状況がそれを許さなかった。


「ありがとうリザ。フランスを守ってくれて」

『それはこっちのセリフさ。最後までいてやれなくて、すまないね』

「もう終わらせるわ。それじゃあ」


 アンの意志を確認した犬山が、通話を切る。 

 意を決したアンは、連れてきた伝史聖獣にまたがった。


「最後の仕上げと行くわ」

「いってらっしゃい」

「私がいなくなっても、フランスをお願いね」

「はい!」



「じゃあ」


 空高く舞い上がったゾウが、未だ空を染めるバロールに突撃する。



成敗ピュニール!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る