アンVSドロテ 再戦!

 ジャネットは敵に飛びついて、首に足をからませた。足をひねって、相手の首をへし折る。

 続いてジャネットはクナイを投げ、正面にいた敵の眉間を貫いた。首を折った相手から飛び跳ねて、クナイを回収する。左右にいた敵のノドをクナイで切り裂く。


 ジャネットの戦闘能力も、侮れない。


「あんたもやるんだよ、男しゃ……」


 ドロテが声をかけた相手は、既にナイフを自身の心臓に突き刺し、事切れていた。


「役に立たない男だね!」


 ドロテが、死んだディプレシに悪態をつく。


 アンは、ドロテとにらみ合っていた。

「お仲間もやるね。さすがにこれだけの手練れを相手するとなると、骨が折れるよ」


「あなたと遊んでいる暇はないの。おとなしく成敗されなさい」


「うるさいね! これでもくらいな!」


 アンめがけて、ドロテがサイを投げつける。

 まったく意に介さず、アンは剣で弾き飛ばした。


「なんだい? この間とは動きがダンチじゃないか」

「手加減してもらっていたのが、分からなかった?」


 アンが告げると、ドロテの表情が苛立ったように変わる。


 だが、アンは剣をしまった。


「なんだ? アタイが相手じゃ不服だって言いたいのかい?」

「あんたなんて、武器なしで十分よ」

「ほざいてな!」


 ドロテのサイが、アンの手首をとらえた。


 アンは、右手首をサイのロープで縛られる。引っ張り合いになった。


「バカ力だね。でも、どこまでつづくかね?」


 両手で、ドロテはロープを引っ張る。同時に、ドロテは空中に飛んだ。直蹴りの構えを取る。


「首をへし折ってやるよ!」


 アンは動じず、同じように跳躍した。

 両手を組んでドロテの蹴り足に振り下ろす。


「ぎゃあああ!」

 ドロテの足が、いともたやすくへし折れた。地面へと墜落する。


 手首のロープを解き、アンはドロテに歩み寄った。


「くそ、ただの王族相手だからって油断したね。アタシの負けだよ」


「何を言っているの? あなたの相手は彼女よ」

 アンは、ジャネットを差す。


「なんだってんだ? このアタシが、元部下に負けるとでも?」


「ダメージは五分と五分ってところよね? それとも、手負いで負けるのが怖いのかしら? 回復するようレオにお願いしたら?」


「うるさい!」

 ドロテは、自らでムリヤリ腕を再生させた。

「ヒーラーなんていなくても、これくらいはできるんだよ!」


「たいしたものね。さすが、バロール教団。人間業ではないわ」


「ジャネットをやったら、今度こそアンタの番だよ。覚悟するんだね!」


 狂気に満ちた視線を、ドロテはアンに向ける。


「ジャネット、負けないでよ!」


 これからは、ジャネットの力量を見極める番だ。

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