幼なじみの彼女はとても幽霊にとり憑かれやすい。彼女を元に戻すには幽霊の願いを叶えて成仏してもらうしかない。主人公のコウは、今日も憑かれた彼女のために幽霊を成仏をさせるべく奮闘するのだけど――?
個性的な幽霊たちとのコミカルなやりとりが楽しい前半と、コウも知らない彼女の『秘密』が明かされていく後半とのギャップがすごいです。
演劇の基本ともいえるエチュード。演劇部員である登場人物たちによって作中でもたびたび演じられています。はたして最後のエチュードは、終わりなのかはじまりなのか――。
切なくもあたたかい読後感に包まれる物語。
こちらは、作者さまがシナリオを担当された同タイトルのノベルゲーム(無料のブラウザゲーム)をご本人がリライトされた小説です。『絵』があるゲームならではの話も、『文章』だけの小説ならではの話もあります。概要欄にURLがあるので、できたら両方体験してみてください。
主人公、コウの幼馴染みの女の子は、幽霊にとり憑かれやすい。
今日もいつものようにとり憑かれて。コウそんな幼馴染みに憑依した幽霊と、カフェでお茶を飲みながら、未練を聞いて成仏させてあげるのがいつものパターン。もうすっかり慣れたもので、幽霊がとり憑いたくらいでは、驚きもしません。
出てくる幽霊は皆クセが強くて、未練も実に個性的。そんな幽霊達の悩みを親身になって聞いてくれるコウの、少し変わった徐幽日記といった感じのお話……なのですが!
後半、幼馴染みの女の子に関する、ある謎が浮上してから、物語は急展開を迎えました。
ネタバレになってしまうので詳しくはかけませんが、隠されていた真実を知った時、コウを悲しい現実が襲います。
それまでの話がコミカルだっただけに、この展開には驚かされて、とても切ない。だけど全てを受け入れて、幼馴染みの彼女と向き合う姿は、読んでいて胸が熱くなりました。
肝心な所を伏せているので、よく分からないという人も多いでしょう。もし気になったのなら、この話を読んでみてください。
切なくて、だけど暖かい物語が、そこにあります。
主人公、コウの幼馴染みであるヨウコは、非常に憑かれやすい体質。憑かれやすいと言うのは、この字から想像できるように『幽霊に取り憑かれやすい』と言う意味です。
もちろんコウとしてはそんな状態のヨウコを放ってはおけず、取り憑いた幽霊を追い出すため成仏させる手伝いをする事になります。
しかしその幽霊と言うのが、揃いも揃って一癖も二癖もあるものばかり。これなら「うらめしや~」なんて言う怨念のこもったやつらの方がまだ扱いやすいかもしれません。
こうしてヨウコに取り憑いた霊を次々成仏させていくコウですが、ふとしたきっかけでヨウコの秘密に触れた時から、事態は少しずつ動き始めます。
憑かれやすい彼女のために頑張った先には、切なくもどこか暖かい想いが待っていました。