第5話

事務所の扉を開けると退屈そうな顔を浮かべた少女が机に伏していた。


「誰じゃ~」


間抜けな声に一樹と麻衣は顔を見合わせて、各々の感情を表情に出す。一樹は呆れた顔を見せ、麻衣は楽しそうな笑顔を見せた。

ソファに腰を沈め一樹はやや大きく声を張った。


「おい。所長さんよ!何突っ伏してんだ?」


「うおっ!一樹か。来るなら連絡くらいしたらどうなんだ?」


「人が来ることが分かってて言う奴の態度とセリフじゃねーよそれは」


「それもそうな」


反省する気配もなくアリスはソファに背中を預け欠伸をした。机の上に無造作に積まれたファイルの山から一冊取り出すと退屈そうにそれを眺めている。

五分程の沈黙の後、事務所にある柱時計で時刻を確認してからアリスは口を開いた。


「それより麻衣。よいのか?時間」


「えっ?あぁ、そうだった。ごめんねカズちゃん。私、店の手伝いがあるから」


「あ、あぁ。迎えに来てくれてありがとな」


ハッとした表情を浮かべた後、麻衣は慌ただしく事務所を駆け出ていった。扉に取り付けられたベルの音が室内を満たす。


「さてと、早速じゃが本題と行こうではないか」


ベルが鳴りやみ事務所に静寂が訪れたのを見計らってかアリスが重い腰を上げた。

ソファに座る一樹の対面へと移動すると、得意げな顔を見せガラステーブルに手を翳した。


「何やってんだ?」


「どれ、手品だよ」

突拍子もない動作に一樹は首を捻るが、アリスは気にする素振りすら見せずその動作を続けていた。

一見して不可解な仕掛けは無いように思えた。アリスは袖を捲り、その補足白い肌を露出させている程度。天井を見上げても何かしらの装置がある訳でもない。

テーブルは言うまでもなくガラス張りでわざわざ下を覗く必要もなく何もなかった。


「なっ」


直後、昨日アリスが現れた時の様に一樹に何処からともなく風が靡いた。だが、彼が驚いたのはそこではない。先ほどまでテーブルの上には何もなかった。だが、今この瞬間それは一樹の目の前に合った。


「どうじゃ?驚いただろう」


「あ、当たり前だろお前!なんだこれ!?本物だろうがおもちゃだろうがこんな物騒なモンをいきなりだされりゃ驚くに決まってる!」


得意げな顔のアリスとは裏腹に一樹は驚愕の表情を浮かべていた。

問題は、テーブルの上に現れた代物だった。それは木目調のグリップに輝かしい漆黒のボディ。


紛れもなくそれは銃と呼ばれる代物で映画やテレビの中でしかみた事のない一般人からすれば驚くのも無理はない。

更に言えば、それは通常の銃よりは格段に大きい図体をしていた。


「お、おいアリス。これは一体なんだ!?いきなりこんなモンを出しやがって、ここは日本だぜ?銃刀法違反ってレベルのじゃねーぞ」


「ははは。驚いたろ?こいつはコルト・アナコンダっていうらしくてな。凄い威力を誇る銃だ。すごいだろ?」


「お前意外と頭わりーのな。語彙力なさ過ぎてなんも伝わんねー」


「ば、馬鹿にするでないわ!少なくともお前より頭いいわ!ばーか」


まるで小学生の様な反応を見せるアリスに呆れながら一樹はそれを眺めていた。

無骨なまでにそれは銃だった。当たり前の事ではあるが、確実にこれで撃たれれば自身が簡単に死に至る事が想像できる。故にその浮世離れな感覚が妙に現実味を与えてはくれなかった。


「で?こんなもん出して何に使うんだよ?」


早く要件を言えと促した。ゆっくりと煙草に火をつけ煙を吐き出す。


「せっかちな奴じゃな。まぁよい。麻衣からどこまで聞いておるかは知らんが、お前をここで採用してやる。どうだ?嬉しいだろ?」


「はぁ、それはどうも」


「つまらん反応だな」


「当たり前だ。こんなクソゴツイ銃をいきなり出したかと思えば採用するとか意味が分からなすぎる」


「ふむ。それもそうか……では、説明してやるとするか」


アリスはパチンと指を鳴らすと何処からともなく現れたキセルが彼女の手に収まっていた。


「なんかもうそのくらいじゃ驚かないよ」


「それは話が早くて助かる」


上機嫌なアリスにため息をつきながら、一樹は身振りでどうぞと話を促した。


「ふむ。では昨日、魔法の存在については少し話したな?」


「あぁ、帰りに麻衣にも少し聞いたよ。人間ってのは魔力を元々秘めているって話で。それを通して魔法を扱うとか何とかってやつだろ?」


「左様。じゃが、正確に言うと魔法ではない。我がお前に見せたのは正確に言えば魔術になる」


「それの何が違うっていうんだ?俺からしてみたらどっちも同じ言葉の意味だぜ?」


「まぁ言うな。魔術というのはその名の通り術だ。工程が必要なんだよ。魔力を体外に放出したところで何が起きるわけでもない。例えば、火を出そうとするならば、必要な詠唱を唱える必要がある。勿論、ただ唱えれば火を出せるわけではないがな」


ふーん、と適当に相槌を打つ。現実問題として受け取れはしないが、仕組みは何となく理解は出来ていた。例えれば、魔力は燃料であり、詠唱はエンジンだ。そして、それらを繋ぐのが人間という機関なのだろう。


「要は、この世界に有り触れた事象となんら変わりはない。だいたい、こんな面倒なモンが―――」


言いかけて一口を閉じた。アリスが言った昨日の言葉の意味が理解できたからだ。

今、口にした様にこの様な仕組みは時代が進むにつれ機械が代用してきたからだ。

人は創造に長けた化け物。成る程と一樹は頷いた。こんな面倒なモノは廃れて当然だと。


「―――で?この話を俺にした理由は何だよ?」


「もうわかりきった事じゃろ?その面倒を取り払ったモノがこれだて」


アリスは済ました様子でそれを手に取った。

先ほど、アリスが出現させたコルト・アナコンダという名称のリボルバー銃。彼女はその銃口を一樹に向け「ばーん」とおどけて見せた。


「人間は魔力を生まれながら備えた生き物。つまり、燃料はお前も持っている。後は、魔術に対する知識と正しい理解。動力を教えてやればいい。だが、そんな面倒な事をしていては時間が幾らあっても足りぬ。結局は、センスも必要だからな。だが、こいつがあれば問題はない」


アリスはまたも何もない空間からそれを出現させた。一樹は驚きもせずそれを見つめていた。


「こいつは、詠唱。まぁ、術式が予め組まれている弾丸じゃ」


アリスは摘まむようにそれを一樹に見せる。弾丸の形状をしたそれは色合いが一樹の知識と遠ざかっていた。その姿は真っ赤に染まり黒いラインが無造作に走っている。


「ほーん。そいつが変わりって訳ね。俺みたいに知識がなくても魔術が扱えると。そいつはすげーなー」


わざとらしく手を叩く。アリスはムッと頬を膨らませた。そう言った表情は見た目での年相応さを感じさせ、一樹は冷ややかな視線を送った。


結局の所、赤羽一樹にとって魔術は興味の枠の外にあったのだ。

神秘と謳われる代物であろうとなかろうと、自身が変わる事などないと。


「……まぁ、でもそっちの玩具には興味は湧きそうだ」


一樹は身を乗り出すとアリスの手に握られたリボルバー銃を掠めとる。


「あっおい!馬鹿者!」


不意を突かれたアリスが思わず声を上げるが、構うものかと一樹はそれを握り構えて見せた。

重厚な見た目とは対照的にそれ自体は軽いと思えた。握り心地で言えば悪くない。大袈裟にいってしまっても好感触だった。正に、手に馴染むという感想が最も適していた。


「成る程。アリス、初任給はコイツでいいぜ。カッコいいだろ?バーンってな」


そのまま鮮やかに銃を手の中で躍らせる。まるで、西部劇のガンマンの様にトリガーガードを起点に器用に回すと、そのままコートのポケットに滑らせた。

余りにも自然な動作。洗礼されたといっても過言ではない動きにアリスは溜息をつく。

一方、一樹はその不自然な違和感を実感するのに数秒の時間がかかった。


「お……お前、俺に何しやがった!」


「馬鹿者。我は何もしておらん。お前が勝手にそれを手にしただけだ」


「あぁ、俺はそれしかしてねぇ。だから、おかしいんだろうが!なんで、俺がこんな事できる!?」


違和感の正体はそれだった。先ほどのガンマンの様な華麗な動作を本物の銃すら触った事のない一樹が出来るはずもなかった。更に言えばコルト・アナコンダの銃身は長く素人が容易に扱える物の筈がない。


「言ったろ?そいつは、面倒なモノを取り除いたものだと。腕、みてみい?」


一樹は言われるがまま、先ほどまで銃を操っていた自身の腕を見つめた。

そこには、細い管の様な異様なモノが何本も巻き付いていた。慌てて取り払おうともそれらが消える事はない。

コートを脱ぎ捨てシャツの袖を捲ってもそれらは依然として彼の腕に巻き付いていた。それどころか、その管たちは彼の腕の中へと侵食しているようにも見えた。一樹は痛みこそ感じないもののその光景は余りにも奇妙で全身の血が引いていく感覚に見舞われた。


「な、なんじゃこりゃああ」


思わず叫び声を上げた。だが、一樹がどう足掻こうともそれらが彼の腕から離れる事はなかった。


「ア、アリス説明しろ!」


「全く。それを説明しようとしたところで貴様が銃を奪ったのではないか」


アリスはキセルの煙を吸い込むと一樹の顔面へとそれを吹きかけた。その行為に一樹は顔を顰める。


「よいか。そいつの名はダークハウンド。先の弾丸を使用する事で魔術を行使できる。勿論、発動する魔術は弾丸に施した術式に依存するし、その威力は使用者の魔力に依存する。どうだ?知識を脳に直接インストールする感覚は。、貴様にはそいつを扱う術を必要な知識をぶち込まれる。その管はそれこそ貴様とダークハウンドを繋ぐ文字通りパイプじゃ。なーに、安心せい。痛みもなければ、それが他者に見られることもない。更に言えばそれが、腕の動きを阻害するわけでもない。我ってやっぱ天才。こんな画期的なモンを作ってしまったのだからな!あっはははは」


心底、愉快そうにアリスは笑った。それほど痛烈だったのか足をバタつかせ、腹を抑えながらヒィヒィと過呼吸気味になる程だ。一方、一樹は苛立っていた。自身の所為とはいえこんな非現実的なモノを掴まされたのだ。八つ当たりに等しいそれを即座に行動に起こした。


ガラステーブルに転がる術式が組み込まれた弾丸を拾い上げる。アリスは、未だにソファに寝転がり笑いこけていた。


「一発ぐらい撃っても罰はねぇだろ」


脱ぎ捨てたコートからダークハウンドを引き抜き、弾丸を装填する。先ほどと違い、一樹は意識的にそれらの行動を即座に行った。

扱う術はとっくに脳に植え付けられている。であるならば、自らの魔力を練り上げ、後は引き金を引くだけだ。


銃口は、真っ直ぐにアリスを捉えた。ダークハウンドを握った右腕に力を込める。それから伸びる管が自身の魔力を吸い上げる感覚は不思議となかった。だが、手に握られた銃は違った。


それに、表情がある訳ではない。それは、言葉を話すわけでもない。しかし、間違いなくダークハウンドは一樹の魔力を喰っていた。


「アリス!お前が悪いからな!」


引き金は軽かった。指を少しずらすだけで簡単にそれは完成した。一瞬、一樹の髪が乱れた。

だが、目の前で起きた現象を前にすれば些細な出来事だろう。

従来のそれとは違い放たれたのは弾丸などではない。赤々とした火。


所謂、創作物にある魔法陣や輝かしい光のエフェクト等が出るわけでもない。

当たり前の様に魔術の火炎は銃口から放たれた。

大きさにして人の拳ほどの大きさ。だが、それはゆらゆらとシャボン玉の様に漂うとアリスに着弾し消失した。それこそシャボン玉の様に簡単に。


「……あ?なんだこれ?こんなしょぼいのかよ!おい、アリス説明しろ」


「くくくく。あははははははは。頼む、頼む。これ以上、我を笑わせてくれるでない。あっははははは」


余りにも惨めな神秘の行使は一樹の顔を赤面させるのに十分だった。

そして、その結果はアリスを更に悶絶した笑いに落とし込むのにもやはり十分だった。

それでも、一樹はその非現実的な光景に驚きを隠せはしなかった。


「まぁ、初めてにしては幾分かマシな方ではあるな。もっと神経を集中させろ。ダークハウンドに魔力を喰わせるだけでは駄目だ。手なずけろ。ほれ、もういっぺんやてみせい」


「あ、あぁ」


言われるがまま一樹は再びダークハウンドを構える。彼女の言葉には不思議と力が在るように思えた。何せ、命令されれば自然とその行動をとってしまう。

言われるがまま、銃口は真っ直ぐアリスに伸ばす。

術式の弾丸を再装填。これらの動作に澱みはない。問題はその次。


「イメージじゃ。貴様はまだ魔力を扱えている訳ではない。火事場の馬鹿力という言葉もあろう?人間は力を存在的にセーブしておる。まぁ、今は筋肉組織など、どうでもいいがな。魔力も同じこと。結局、重要なのは脳じゃ。意識を抑制するな。開放するは、自らの中枢。こじ開けろ、自らに眠る魔力を」


一樹は目を閉じた。アリスの言葉の意味はよく理解は出来てはいなかったが、意識を沈ませる。自らの奥に。奥底に。

暗闇の中にいた。自身の深層の中は暗闇だった。


「魔力は、人の根本ともいえる。それが、その人間の持つ本性。さて、一樹。貴様の本性。暴いてみせい」


目を瞑っている彼が見ているのは脳内で自らが映し出した映像だというのに、何もなさすぎると一樹は思った。

何もないというよりは、塗り潰されている。が正しいのだろうと自らの思考をすぐさま否定する。


アリスの言葉は魔的で催眠術の様に意識がトリップしていた事に気が付かされたのは今更になってだった。

暗闇の中を歩く。ひたすらに歩く。前に進んでいるのか。後退しているのか。

それすらもあやふやな中で何かが灯った。

それは、とても赤々しい炎の塊だった。


「さぁ、みせてみせろ!」


見開いた目の先。一樹に纏わりつく管が自身の何かを吸い上げた。否、捕食した。

喪失感などない。ただ、感じたのはダークハウンドの唸るような遠吠えだった。

漆黒の銃身に歪みが走る。血の様な滲み達は銃口へひた走る。

その出来事を意識するまでもなく一樹は引き金を引いた。


「―――ほう」


眼前の少女は口元を吊り上げた。

直後、先ほどとは比較にはならぬ程の鋭い炎が弾ける。

放たれた炎の弾丸。アリスはそれに右手を翳し、一言、呟くと円形の魔法陣が彼女の前方に出現する。


「褒めてはやるぞ。一樹。まさかここまでやれるとは」


クツクツと笑いを込めながらアリスはいう。一樹の放った炎の弾丸は彼女の出現させた障壁に着弾すると、敢え無く拡散し消失した。


「……これが、魔術」


思わず零れた感想は紛れもなく真実だった。

常識の枠の外にあった光景を自ら生み出してしまったのだ。それを綺麗だとかカッコいいだとか抽象的な事ではなく。ただ純粋に恐ろしいと考えてしまった。


常識の外に合ったそれはいとも簡単に現実へとやってきた。つまりは、一樹自身が知らなかっただけであり、世界は魔術で有り触れていたとしたら。

事務所を訪れる前に麻衣が話していた事件が一瞬、脳裏を掠めた。


今、起きている焼死死体遺棄事件も魔術によるものだとしたら。それは、きっと警察などが手におえるものなどではないのだろうと。


「おい、アリス。俺の仕事はなんだ?俺を雇って何をさせようとしている?例の連続焼死遺体事件を解決する為か?」


柄にもない事を口にしたという自覚があった。

麻衣の前で一樹は自身には関係のない話だと突っぱねているし、連続殺人が行われている事を知っている只の一般市民に他ならない。


それは、一樹に限った話ではない。人々も同様だ。例え、そんな事が世間で起きていようと自身や家族、友人が事件の当事者になる限りは知らん顔するのが世の常だ。

だが、術があるならば別の話だった。物騒な話を解決できる手段があるならば止めるに越したことはない。

規格外の犯人に対して、一樹自身も規格外のモノを手に入れたからだ。

だが、アリスはそれを鼻で笑って見せた。


「は?そんな事させるわけないだろ?人が何人死のうが我には関係のない話だ。それに、自惚れるなよ一樹。そいつをまともに扱えもしない分際で何が出来る?そんな下らない正義感を振りかざして気取るのは中学生までよ」


アリスの言葉の前に一樹は口を閉ざした。

紛れもなくアリスの言う事は真実た。一樹自身がヒーローに憧れているわけでもなければ、犯人逮捕に使命を掛ける様な職がらでもない。ともなれば、そんな感情は不必要なものだ。


「良いか?自分の力量すら図れん奴は只の馬鹿だ。自分には特別な力があるなどと思い込むな。貴様は、我のいう事をただ聞いておればよい。そう求人広告にも貼ってあっただろう?ペット化とな」


「あれは誤字じゃ―――」


「勝手に決めつけて勘違いをしたのは貴様の方。我に確認したのか?全く、昨日と同じ問答をする必要もない。少し褒めただけでつけあがるでない」


アリスはキセルを吹かしながら特等席に座りなおすと、書類の入ったファイルを怠そうに眺めている。

一樹はソファに座りなおす事もせず壁に背中を預けた。


改めて部屋を見渡してみると、奥にある本棚は雑多に本が敷き詰められており、一樹の知識にはない言語の言葉が並んでいた。

窓際とは反対方向のスペースにはダイニングキッチンがある、一樹の対面側には扉が四つあった。所長机のすぐ側の扉には、先ほどアリスが出現させた魔法陣の様な紋様が描かれている。


「おい、アリスこの扉に描かれてるやつって?」


「あぁ、そこは我の部屋だ。入るでない。まぁ、貴様では入る事すら出来んが。あぁ、そうだったな貴様の部屋は一番奥の扉だ。因みに、二番目が便所、三番目が風呂場だな。貴様には物置に使っていた部屋を割り当てる。我も、手入れしとらんし勝手に掃除でもしていろ」


アリスは言うと再び視線をファイルに落とした。必要以上に話しかけるなといわんばかりの態度に、一樹はそれを汲み取り自身に宛がわれた部屋の扉を開けた。


「な、なんだ……これは」


想像以上の汚さが一樹の視界を塗りつぶした。乱雑に積まれた段ボールの山。埃を被った床に錆び付いたステンレス製のベッドはその色を黒味が帯びた赤黄色に変色させていた。

仕方がないと小言を一つ零して一樹は部屋の清掃に取り掛かった。

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