第一夜
夢をみた。
僕は草原の真ん中に立っていた。
大きな雲と綺麗な空が僕を見下ろす。
前には大きな白い家が建っている。
海の匂いを含む風が僕を通り抜ける。
身体で景色を感じながら家の中に入る。
彼女がいた。
彼女は、背もたれの長い高級そうなロッキングチェアに座り、なにやら本を読んでいた。
開いた大窓から吹く優しい風が彼女の純白のワンピースをなびかせる。
辺りには本棚がずらりと並んでいた。
というか、大窓と椅子以外、本棚しか無い。
床の大理石には、大量の本が乱雑に置かれていた。
多分もう読み終わったものを片すのが面倒だったのだろう。
黙って彼女に近づき、足元に置かれてある本を何冊か拾う。
パラパラと内容を確認するが、どれも何も書いておらず、ただ「本」の形をしたものが転がっていただけであった。
仕方がないので近くにある本棚に、これを戻す。
順番やシリーズなど、もしかしたらあるのかも知れないが、そんなことをお構い無しに戻していく。
半分くらいしてから、少し飽きて、彼女の近くへよる。
彼女はじいっと白紙の本を読んでいる。
彼女にだけは読めるのか。少しつまらない。
彼女とは一切目が会わないし、僕のことを認知してるかすらもわからない。
することがなくなり困ったので、特に理由も無く彼女の瞳を見つめる。
すうっと頭がからっぽになっていく。
ぼおうっとしてきて、瞼が下がる。
嗚呼、もう終わってしまうのか。
白に包まれ、眠っていく。
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