おもに東京の西側あたりに住まう人々。そんなごくごく普通の人たちの当たり前の日々が描かれているのに、そこに小さな光るものが見えるのです。起こることはだいたい些細なことで、でも登場人物たちはその些細さの上をただ通り過ぎるのではなく、何かしら感じ、何かしら動きます。日常のこんな切り取り方があるのかとはっとさせられます。そこが本作のとても魅力的な部分で、知らず知らずのうちに惹き込まれてしまいます。不思議な魅力の短編集です。続きが書かれるのも楽しみです。