第12話~魔王少女VS魔王少女~
ナラムと通信をした翌日にレミア達が人避けの結界を抜けて魔王城を目視できる場所まで来ると。
「魔王城が・・私の家が・・」
レミアは無残な姿の魔王城を見て泣きそうになった。
レミア達が壊れかけた入り口で地上に降り城の中に向かおうとした時に城の中から1人の少女が現れた少女はレミアと同じく青色ベースの可愛い装備一式を装備していた。
そしてレミアがその少女の姿と顔を見て驚きながら。
「な、ナラムおねーちゃん?その格好は・・」
妹に確認されるかの様に言われた少女は斜め下を見ながら。
「レミア・・それ以上言うな・・」
そう言うとナラムは前日に起きた事を話し始めた。
話の内容はこうだった・・昨日、近隣の魔王同盟軍の大軍団が侵攻してきて、ナラムとお父さん魔王で頑張ってみたが数の暴力には勝てず魔王城は陥落し、お父さん魔王は支配魔法で操られて我を忘れていて、ナラムも支配魔法を掛けられ一時的に気を失っている間に「誰かに」この可愛い格好にされ今は体の自由か利かず自分の意思で喋るのが精一杯。
「と言う事だ、だからこの格好の事についての質問は拒否する・・」
ナラムはそう言うと苦しそうな声を上げ。
「頭が壊れそうだ・・もう無理っぽいかも」
そして顔を上げ他人を見るかの様にレミア達を見ると。
「お前達がこの魔王城を攻めて来た勇者共か・・ここで葬ってやる」
ナラムが支配魔法に落ちた瞬間だった。
「ナラムおねーちゃん待ってー」
レミアはそう叫んだがナラムは可愛い杖をゆっくり上げ。
「妹でも手加減しない、エンシェントデーモンミラーマジック」
すると、レミア達を囲むように地面から姿見の鏡が3体現れ更にナラムが
「エンシェントデーモンマジック魂の鎖」
ナラムが2つ目の呪文を唱えると鏡から鎖が飛び出しカカラ、やよいちゃん、リヴァイアの3人に絡みつき夫々の鏡に全身が映る所まで引きずって止まり、鏡に映った3人が本人の前に現れ鎖が砕けた。
それを見たナラムが薄笑いを浮かべながら
「エンシェントデーモンマジックエリアシールド」
今度は3組を別々に囲むようにシールドが発生した。
「戦って勝った方が外に出れるから頑張ってね・・残るはレミアと雑魚の赤龍・・?」
ナラムはさっきまでいたはずの赤龍を探した。
「わしならここじゃ」
ナラムが声の方を見るとリヴァイアの背中に炎を羽が生えていて、それに気づいたリヴァイアがワナワナ震えながら。
「人の背中に勝手に生えるな・・」
「せっかくシールド前に助けに入ったのに切ないのー」
「私は1人で戦える」
「そうは言っても魔力が足らんじゃろう、ほら来たぞ」
エンがそう言うと偽者からの津波の魔法がリヴァイアを襲い全力で抵抗しようとしたが直撃を受け膝を着いてしまった。
「ほーれ言わんこっちゃない」
エンに言われたリヴァイアはゆっくり立ち上がりながら
「黙れ、お前の力など・・」
「まったく面倒なやつじゃ・・抵抗できるか?ドラコニックマジックフュージョン」
エンが龍語魔法を唱えると炎の羽がリヴァイアを包み始め炎の鎧を成形し始め、使われた魔法に抵抗しようとしたが今のリヴァイアには抵抗する魔力は残っていなかった。
炎の鎧が完成すると赤龍のエンが
「わしはここまでじゃ後はお前の好きにするがよい」
「まったく余計な事を・・お前の魔力を使い果たしてやるから覚悟しろよ」
そしてリヴァイアは偽者の自分の方を見ながら。
「本物のリヴァイアサンの力を見せてやる」
リヴァイアはそう言うと両手を広げ呪文を唱えた。
「ドラコニックマジック・・・」
所変わってカカラVS偽カカラ
お互い最上位魔法の打ち合いと絶対防御魔法でシールド内が魔力でスパーク状態になっていた。
カカラは攻撃を止め偽カカラから距離を取ると偽カカラを見てニヤっとしながら。
「さすが強いな私・・そしてナイスバディだわ・・でも私の方が強い」
カカラはそう言うと胸元から色違いの3つの石を取り出すと偽カカラを囲む様に地面に投げ少し悲しそうな声で
「もったいないけど・・これで終わり・・マジックリフレクトホール」
カカラが呪文を唱えると3つの石が1m程浮き上がり光りながら偽カカラを中心に周りを回り始め、それを見た偽カカラが攻撃魔法を唱えるが魔法は回っている石の外側には行けず偽カカラに戻りダメージを与えた。
「私をコピー出来ても持ち物の魔法石まではコピー出来なかったようね」
カカラはそう言うと何も無い空間から黒い剣を取り出しゆっくりと偽カカラに近づきながら。
「偽者だけど私が戦った中で一番素敵だったわよ・・だって私だもの」
剣の届く距離に来るとカカラは黒い剣を振り上げると偽カカラは絶対防御魔法を唱えるが石に反射して相殺されて消えてしまいカカラが
「じゃぁーねセクシーな私の偽者」
更に所変わってやよいちゃんVS偽やよいちゃん
ここのシールド内で戦闘は一切行われていなかった・・シールド内ではやよいちゃんと偽やよいちゃんは睨み合い、どこかのオカマ兄弟(お○ぎとピ○コ)の様に貶し合いをしていた。
や:「なによ!偽者!不細工な顔ね!」
偽:「なによ!あんたこそ干乾びた不細工な顔のくせに!」
や:「失礼ね!ちゃんとお手入れしてるし!あんたと同じにしないでよ!」
偽:「あー!やだ!失礼しちゃうわもう!私だってお手入れぐらいしてるわよ!」
や:「出て来たばかりでなにを言ってるの!この不細工!」
偽:「それは私のセリフよ!超不細工!」
この後も戦闘する事も無く貶し合いが続く・・
そして少し離れた空中でそれらを見物しているヴィクトリアの姿があった。
所戻ってナラムVSレミア
「まぁー雑魚龍が加わったところで問題あるまい・・」
ナラムはそう言うとレミアの方を見ながら薄笑いを浮かべ。
「レミア・・私をやるつもりか?いや・・お前とは一度やりあってみたかった」
ナラムはそう言うとレミアの知らないデーモン魔法を次々と唱えた。
「これが研究して復活させたエンシェントデーモンマジックだ」
レミアは反撃はせずに可愛い杖と防御魔法でナラムの攻撃を防ぎながら。
「おねーちゃん、もうやめてよ、おねーちゃんと戦うなんて出来ないよ」
そう言われたナラムは攻撃をやめレミアを睨むと
「甘いんだよレミア、それじゃ魔王どころか勇者にもなれないぞ」
レミアは「勇者」と言われ一瞬動きが止まり、それを見逃さなかったナラムが稲妻の魔法をレミアに放ちレミアは防御する事も無く直撃を受けて後方に弾き飛ばされれ転倒した。
やよいちゃんを除いた2人は偽者にトドメを刺そうとしたがナラムの言った勇者の言葉に攻撃を忘れてレミアの方を見てしまった。
「ドラコニックマジック・・・ゆ、勇者?」
「じゃぁーねセクシーな私の偽者って・・レミアが勇者?」
「あーもうやんなっちゃうこの超超超偽者不細工・・・あら勇者だなんてレミアったら可愛いじゃない」
少しするとレミアがゆっくり立ち上がり今にも泣き出しそうな真赤な顔で叫んだ。
「お、おねーちゃん、レミアは勇者なんかに・・」
レミアがそう言うとナラムが楽しそうに
「じゃーお前の部屋にあるトロの勇者のコスプレセットとか水晶の戦士のフィギアとか・・」
「それ以上はだめーおねーじゃん」
レミアは涙と鼻水を流しながら叫んだがそれを無視しナラムが
「あとあれだ・・等身大の緑の魔王のポスターとその寝巻き(着ぐるみ)えーと・・確か名前は・・ぴ、ピロッコ大魔王だったかな?デーモンが勇者って呆れた話ね」
カカラ、やよいちゃん、リヴァイア達は耳をダンボの様に大きくして戦闘を継続しながら話を聞いていた。
レミアは憧れの勇者とカリスマ存在の名前を出されて今度は大粒の涙を流しながら。
「れびあばでーぼんだけおゆうじゃがじゃいじゅきじゃし、ぴろっごじゃいまぼうはちゅごくてゆじゃぼたじゅげるぜいぎのまぼうぜ・・じゃがられびあはぴろっごじゃいまぼうみだいなゆうじゃまぼうににゃいだかっだ」
(訳:レミアはデーモンだけど勇者が大好きだし、ピロッコ大魔王は凄くて勇者を助ける正義の魔王で・・だからレミアはピロッコ大魔王みたいな勇者魔王になりたかった)
ナラムは理解不能なレミアの話を聞き終わると。
「それより触角の生えた緑ハゲのどこがいいんだレミア?」
その場にいた全員が「ぽきっと」何かが折れた音を聞いた。
少女は夢と希望と趣味を勝手にカミングアウトされ、更に少女のカリスマを「触角の生えた緑ハゲ」と言われて少女の心は完全に折れてしまった。
そして涙も鼻水も止まり完全に白黒状態で地面にペタンと座り込み小さな声で独り言を始める魔王少女レミアがそこにいた。
「精神破壊魔法完了」とナラムが高笑いしながら言うとそこにいたレミア以外の全員が「それ魔法と違うから」と心で突っ込んだ。
「そのまま灰になりなさいレミア」
ナラムは両手を高く上げ手と手の間に炎を灯しそれが段々大きくなり、もうこれ以上大きくならなくなるのを見ながら。
「エンシェントデーモンマジック・ヘルファイア」
詠唱が終わると大きくなった炎が勢い良くレミアに向かって飛び出した。
レミアは炎を避ける様子もなくそこに座ったままで、それを見ていたカカラ達が叫んだ。
「レミア避けろ!」
しかしレミアは仲間の叫びにも動く事無く炎がレミアを包み込んだ。
「ヘルファイアは対象が燃え尽きるまで燃え続けるから逃げ場はないわよ」
ナラムが勝利宣言とばかりに言うと少しして炎が何かに弾かれたかの様に飛び散り消えてしまいそこには何事も無かったかの様にレミアが座り込んでいた。
「!?」
そこにいた全員がいったい何が起きたか理解出来なかった。
「私の魔法に抵抗するとは・・これはどうだ」
ナラムはレミアに向けて幾つかの魔法を叩き込んだが何故かレミアに当たる瞬間に何かに弾かれてしまいそれを見ていたカカラが
「絶対防御魔法か?いや違う・・何だあの魔力の感じないシールドは」
ナラムの最後に放った魔法が当たる瞬間に魔法とレミアの間にシールドの様な物が現れてゆっくり消えていった。
「何だ今のシールドは?」
ナラムはもう一度魔法を放つと先程と同じ様にシールドが現れ弾いてしまった。
そしてシールドが消える瞬間その場にいた全員がシールドの正体を知った。
シールドに「心の壁」と薄っすら書かれていたのであった・・
レミアが100年引き篭もって習得した外部からの干渉を断ち切り、引き篭もり生活の邪魔をさせないための無敵のシールドであった。
これ以上埒が明かないと見たヴィクトリアがレミアのそばに瞬間移動で現れため息をつきながら。
「まったくつまらん茶番だ」
突然現れた姉のヴィクトリアにナラムが指差しながら。
「ヴィクトリアまで裏切るつもりか?」
そう言われたヴィクトリアは不適な笑いを浮かべながら。
「裏切る?誰に言ってるのだナラム・・この辺の名も無き魔王に支配されるとは情けない妹を持ったものだ・・しかもその恥ずかしい格好でよくいられるな・・」
「格好などどうでもいい!お前を倒す為に今まで長い間に色々と研究してようやく復活させたエンシェントデーモンマジックでお前を倒して姉より強いところを見せてやる・・エンシェントデーモン・・」
ナラムが魔法を唱え様とするとヴィクトリアの魔法が一瞬で発動してナラムを直撃した。
「ダラダラと説明が長い、詠唱が遅い、そして姉を倒す事はやはり出来ない・・以上だ」
ヴィクトリアの魔法を受けたナラムは目の前が一瞬ブラックアウトして元の風景に戻り支配される前の自分に戻りそれと同時にカカラ、リヴァイア、やよいちゃんへの魔法が解かれ偽者達が消えていった。
「ん?私は確かレミアと話をしてて・・って何でヴィクトリアがここにいるのよ」
ナラムがヴィクトリアを指差しながら言うとヴィクトリアはここで起きた茶番を説明した。
「お前が支配魔法に落ちて・・そしてお前がレミアを苛めて・・レミアが引き篭もりシールドを発動させて・・埒が明かなくなって・・つまらなくなったから出て来た」
ナラムは恐る恐るレミアに近づき座って動かなくなった白黒のレミアを見るとレミアは死んだ魚の目をして口だけパクパクさせていた。
「ピロッコ大魔王様・・私の姉をどうかお許し下さい・・そして私を見捨てないで導いてください・・」
ナラムはやってしまったとばかりに手を額に当てながら
「こ、これは20年は帰ってこないな・・」
「直ぐに戻ってもらわないと困る」
ヴィクトリアはそう言うとカカラ、リヴァイア、やよいちゃんを呼びレミアから離れて5人で作戦会議を始めた。
「ナラムの支配魔法解除で分かったんだが支配魔法中は普段より魔力が上がっているらしくナラムの解除に全力を要した。そうなると現在の馬鹿親父魔王は全盛期かそれ以上の魔力を持っていると思われ、あの馬鹿親父魔王の支配魔法解除して正気に戻すためにレミアの高い魔力が必要になる・・家庭内の問題で申し訳ないが手伝ってもらうぞ」
ヴィクトリアの説明が終わると全員同じ質問をした。
「どうやってレミアを3次元に戻すんだ」
ヴィクトリアは「考えがある」と言いレミア復活作戦内容を話し終わると「何て姉なんだ」と全員が思った。
全員でレミアの前に集まるとヴィクトリアが「では始める」と言いえげつない話を始めた。
「30年位前にドラサンクエストの冒険者のメモに落書きをしたのは私だ・・「し、お、い、の、ろ、こ、さ、つ」を「も、あ、り、み、る、に、き、や」に書き換えた・・レミアが徹夜でやってたのを見て・・つい邪魔したくなった」
「そ、それだけ変えられたら爆死じゃないか・・」
内容を知っていたカカラが唾を飲みながら言うとヴィクトリアが
「それと、使い魔の猫を使ってリセットと書かれたボタンを押させたのも、更に何年か前にワイハにピロッコ大魔王が来ていた時に書いてもらったサイン色紙も偽者だ・・彼が急に『ご飯』が危ないと意味不明な事を言い残していなくなってしまって・・それで殿下に真似て書いてもらった・・すまない」
ヴィクトリアが言い終わるとレミアに異変が現れ白黒状態はそのままでシールドが消え涙を流し始め、それを見たナラムがトドメとばかりに
「じゃー私も・・トロの剣とコスプレ装備を魔改造して実物より強力にしたのと・・レミアの部屋を盗撮して魔チューブにアップして一儲けしていた・・デーモンの勇者ごっこシリーズ動画は総再生回数100000万超えで凄かったよ」
「そ、その動画見た事ある・・顔にモザイクあったけど・・レミアだったのか・・」
カカラが驚いているとレミアが涙を止めて心の壁を再度発生させて、それを見たヴィクトリアが頭を抑えながら。
「ナラム・・晒してどうするんだ・・」
「お、おねーちゃんだって酷い事してるじゃん」
ヴィクトリアとナラムの会話を聞いてその場にいた全員が『どっちもどっち』と思った。
「これじゃ埒が明かない・・最後の手段だ」
ヴィクトリアは魔王城の方を見ながら言うと魔王城を指差し。
「レミアは置いて魔王城に行く・・」
その場にいた全員が「親父魔王を倒すにはレミアの魔力が必要」って思っているとヴィクトリアが不適な笑いを浮かべながら。
「誰が馬鹿親父の所に行くと言った・・まずはレミアの部屋を完全に破壊する」
ヴィクトリアが魔王城に向かおうとした時に足に何かが纏わりつき歩き出せなかった。
ヴィクトリアが纏わり付いた物を見ると2頭身レミアが摑まっていて下唇を噛んで大粒の涙を流しながら声にしなかったが『それだけは勘弁して下さい、おねーさま』とばかりに何度も横に首を振っていてヴィクトリアはレミアの首根っこを掴むと軽く持ち上げ顔を見合わせると目が怒っている笑顔を見せながら
「レミア・・分かっているな」
レミアはこれ以上引き篭もると部屋が危ないと思い縦に首を何度も振りそれを見たヴィクトリアはレミアを下ろし。
「サルベージ完了・・これより馬鹿親父の討伐を開始する」
レミア、ヴィクトリア、ナラム、カカラ、リヴァイア(+エン)、やよいちゃんの6人はレミアの親父を討伐(助ける)為に魔王城に向かい歩き始めた。
おまけ
魔王城に向かう途中カカラがレミアに例の本について尋ねると、レミアは勇者になるにはまず冒険者からだと顔を真赤にしながら答えた。
リアルおまけ
アップ前にこの文章を読んだ身内とその他の皆様から「心の壁ww○○フィールドかよ」とか「色々パクリ過ぎ」と見事な突っ込みを肉まん大王は受けましたが決して負けません・・笑
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