第6話~赤龍のセキエン~
最初の町から5日程移動した都市「ミヤオオ」にレミア一行はいた。
都市とあって沢山の人がいて見た事もない色々な物が店にならんでいた。
それらを見たレミアは感動して長女ヴィクトリアが田舎を出て都会に行った事に納得してしまった。
街に着くとやよいちゃんは「情報収集と言う名のイケ面探しに」いなくなってしまい、カカラは宿に着くなり全力で寝てしまった。
残されたレミアとリヴァイアは前回教えてもらったマジックアイテムの所有者に会うためにある大きな門の前にいた。
「赤龍道場って書いてあるけど何だろう?」
レミアがそう言うとリヴァイアが
「多分ここは拳闘士が集まってる所じゃないかな・・赤龍とは気に入らないが」
レミアは例の本を取り出し拳闘士を調べ始めレミアなりに理解をして。
「なるほど拳闘士とは己の体を武器として戦う人の事で拳と拳でお互いを分かり合える熱い人達?そして達人に辿りついた拳闘士達は指一本で相手を爆発させたり切り刻んだり出来るのか・・想像するだけで何て恐ろしい人達なんだ」
それを聞いたリヴァイアは顎を掻きながら。
「最初は合ってるけど・・まぁそう言う人達もいるって話は聞いた事はあるし間違いではないと思う」
そんな話をしていると大きな門が開き中から胴着を着た男が数人出て来た。
それを見たレミアは胴着を着た男たちに声をかけた。
「すいません、ここにセキエンって人はいますか?」
聞かれた男達は丁寧にセキエンの所まで案内してくれた。
セキエンは白髪、白髭の人物で赤龍の刺繡のある綺麗な白い胴着を着ていた。
「セキエンに何か用かな?」
レミアは前の町の領主から聞いて来た事を伝えるとセキエンは思い出したかの様に
「なるほど、あの可愛い服が欲しいのじゃな」
何かのアイテムだと思っていたレミアは思わず「可愛い服?」と聞き返すと。
「そうじゃ、丁度お前さんが着れそうな可愛い服じゃったと思うが」
レミアは可愛い杖の次に可愛い服と何が何だか理解に苦しんでいると。
「わしには娘も着せれる孫もいないから譲ってもよいが・・」
レミアは「譲ると」言われ可愛いアイテムの事は忘れて思わず「本当ですか?ありがとうございます」と言ったがセキエンが笑顔で
「ただと言うわけでは無くうちの者と良い演舞をして見せてくれないか?」
レミアが「演舞?」と言うとセキエンが続けて
「そうじゃ、ほらお前の後ろにいる青い瞳の者からただならぬ力を感じるのじゃが?」
レミアが振り向くとリヴァイアは自分を指差しながら
「え?あたし?」
「ここに入ってきてから隠そうとしても隠し切れぬ力をお前さんから感じるんじゃが」
そうしてセキエンの門下生とリヴァイアが演舞をする事になった。
「ルールは相手を倒すか投了させるかこの四角い場所から外に出すかで、武器はここにある好きな者を使うとよい」
セキエンに言われたリヴァイアは辺りを見渡し「ある物を見つけ」それを武器に指定すると
対戦する門下生が怒りの声を上げたがセキエンの一喝で静まり返った。
「リヴァイアと言ったな、本当にその水の入ったバケツでいいのだな?」
そう言われたリヴァイアは頷きながら
「ルールの確認だがこの線で囲まれた場所から相手を出せば勝ちでいいのだな?」
「そうじゃ出せればの話だがな」
そうしてリヴァイアとセキエンの門下生との演舞が始まった。
開始から門下生の連続攻撃が始まりそれを流れる様にかわすリヴァイア。
「逃げてばかりでは私には勝てないぞ」
攻撃をしながら門下生が大きな声でリヴァイアに言うとリヴァイアは「では」と言い両手を広げ踊るように舞い魔法の詠唱も無しにバケツの水を操りだし、そして両手で水をすくう様に手を目も前に出すとそこに水が集まり集めそれが終わると水を圧縮させるように手を閉じ次の瞬間指を開きそこから勢いよく水が飛び出し門下生は武器で受けたが水圧で線の外に押し出されてしまった。
「線から出たから私の勝ちでいいのかな?」
リヴァイアが門下生を指差しながらセキエンにそう言うとレミアが「リヴァイアさん強い」と近づき線の外で立ったまま何が起きたか理解出来ない門下生が
「魔法とは卑怯な」
「魔法なんて使ってないけど」
リヴァイアがそう言うとセキエンが門下生に
「愚か者、相手が何をしようとそれに対応をするんじゃ馬鹿者が下がれ!」
門下生が下がるとセキエンが笑顔でリヴァイアとレミアに近づき
「面白い物を見せてもらったぞ、しかしお前さん何者じゃ?魔法?いや技?どちらにしてもまだ見せていない物がありそうじゃな、どうじゃわしと演舞してみるか?」
リヴァイアはそう言われると丁寧に
「お断りします、勝ったので例の物を頂きたいのですが?」
「勝ったから?そうじゃな・・面白い物は見れたが良い演舞はまだ見ていないからのー」
セキエンは意地悪そうに言うと。
「あ!」とレミアとリヴァイアは同時に思うとセキエンが
「来週、この街で演舞大会があるからそれに参加していい演舞を見せてくれたら例の服は譲ろうではないか・・わしも参加するがどうじゃな?」
それを聞いたレミアは2人で相談すると言いリヴァイアを連れてセキエンから少し離れレミアは笑顔で何かを言おうとする前にリヴァイアが
「レミア・・私は出ないからね」
「えー」
「えーじゃない」
「リヴァイアは私が魔王になるのを見届けるって言ったじゃん」
「言ったけど大会には出ない、私はなるべく人間と関わる事を避けたい・・だからレミアが出るかそれかカカラかやよいに頼め」
「私は本当の姿じゃないと魔法使えないし、カカラは開放した3分で1試合は勝てても時間切れで次は無理だし、やよいちゃんは止めた方がいいと思う・・本当に・・とてつもなく嫌な予感しかしない」
そんな話をしているとセキエンが大きな声で
「申し込みの締め切りは明後日だからそれまでに決めるのじゃ」
レミアはリヴァイアを説得したが「出ない」の一点張りなのでそこでの説得は諦め一旦宿に戻る事にした。
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