第2話 一日だけのアイドル

河原さんに案内されたビル。

それは、多目的ホール。

当然、コンサートも行われ、たびたびアイドルもコンサートをしている。


でも、かけだしの方が多いが・・


「津波くん、ここで待っててね」

そのコンサート会場の客席に案内される。

そのあと、河原さんは、

「支度があるから」と、外へ出て行った。


「なんなんだ?」

僕は、客席に腰をお下ろした。


辺りは暗い。


「河原さん?」

心配になりつつも、少しの間だけ、待つことにした。


すると、ステージに灯りがつき、ひとりの少女が現れた。

スポットライトは、彼女にあたっている・・・


「・・・河原さん・・・?」

そこには、アイドルの服をきた、河原さんがいた・・・


「津波くん、びっくりさせてごめんなさい」

「えっ」

「実は、私はアイドルを目指したいたの」

「いた?」

河原さんは、頷いた。


「子供の頃から、養成所に通って、レッスンを受けていた。

大変だったけど、いつか夢は叶うと信じて、頑張った・・・」

「・・・うん・・・」

「でも・・・」

「でも?」

その表情から、おおむねの見当はついた。


でも、なぜか彼女の口からききたかった。


「両親の賛成を得られなくて、断念したの・・・」

僕は何も言えなかった・・・


「だけど、最後に君にだけは聴いてほしい。私の歌を」

「えっ?」

「今日一日は、アイドルでいたい。そう、津波くん、君だけの・・・」

「どうして、僕に・・・」

「君なら、わかってくれるはずだよ。」

「えっ、」

「聞き上手な君なら・・・」


すると、イントロが流れ始めた。


初めて聴く曲だ・・・

彼女のオリジナルか?


「それでは、聴いて下さい。私の、たったひとつの、

最初で最後の、コンサートを、津波くん、君だけに贈ります」


【河原一美、ソロコンサートへようこそ】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る