第3話 大切な贈り物

「今日は、急な御誘いにも関わらず、来てくれてありがとう。

津波くん・・・いいえ、津波洋介くん、今から歌うのは、私から君へのプレゼントです」

僕へのプレゼント?どういうことだ・・・


「君なら、きっと受け取ってくれると信じて歌います。

私の、たったひとつの、オリジナル曲を・・・

詞も曲も私がつくりました。

後、アカペラで失礼します。」

前置きは長いが、もっと聞いていたい気がした。


「前置きが長くなったけど、歌います。曲は・・・」


河原さん・・・いや、河原一美さんは、歌いだした。

とても、声が透き通っている。


思わず、聴き惚れてしまった・・・

もし、デビューしたら、人気アイドルになっていただろう・・・


≪大切な贈り物≫


♪ひとりだなんて、思わないで。

君は、ひとりじゃない。


周りに合わせなくていい、遅くてもいい、

君は、君のままでいて・・・


私は今の君が大好きだから・・・


こわがらなくていいよ

私はいつでも、そばにいる。


今は辛い事でも、きっといつか、笑い飛ばせるような

明るい未来が、君を待っている。


そして、いつか、私と笑い合おう・・・


・・・とても、体に・・・心を揺さぶれる唄だった。


曲が終わった。


河原さんは、深くお時儀をして、ステージの袖にひっこんだ。


僕は拍手することも、立ち上がる事も、

そして、駆け寄る事も出来なかった。


ただ、なぜが、目が熱かった・・・

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