女の子の気持ち

勝利だギューちゃん

第1話 特別視

高校生ともなると、異性に恋心を抱きはじめる。

最も興味のある時期なのかもしれない。

そして、彼女が欲しいと思う。


でも、彼女が出来るのは、イケメンだったり、ワルだったり、

目立っている陽男に限られる。


俺は、冴えない陰男。

嫌うのならいい。

相手にしたくないのなら、構わない。


でも、話をしている最中で、仲のいい陽男に声をかけられた途端に、

こっちを無視するのは、止めて欲しい。


その日もそうだった。

最初は、腹の立つ事もあったが、もうあきらめた。


でも、俺は今、クラスメイトの女子と、一緒に歩いている。

付き合っているわけでも、仲のいいわけでもない。

多分、話すのは初めてだろう。


それなりに、かわいい女の子だ。

傍から見れば、さぞ羨ましく思われる・・・

俺の基準だが・・・


「ごめんね。いきなり付き合わせて」

「いいですよ。暇でしたし・・・」

「敬語、使わなくていいよ。クラスメイトなんだし」

「いえ、そういうわけには・・・」

「ダメ。タメ口で・・・」

照れくさい。


「わかったよ。河原さん」

「よろしい、津波くん」

会話は弾まないと思っていたが、河原さんの方から、

いろいろと、訊いてくれるので助かっている。


「津波くんって、聞き上手だね」

「そんなことないけど、ただ話すのが苦手で・・・」

「ううん、聞き上手な男の子は、もてるよ」

「見え透いた、ウソはいいよ」

「ウソじゃないよ。でも、大きくなったら・・・」

「もう、大きいけど」

「成人したらってこと」

「期待しないで、待ってる」

河原さん、何が言いたいんだろう?


「実はね、君に見せたいものがあるの」

「見せたいもの?」

「うん、楽しみにしててね」

何だろう?気になる。


それからも、いろんな話をした。

女の子と話すのは、いつ以来だろう・・・


「ねえ、津波くん」

「どうしたの?」

「私は君が不思議」

「悪かったな」

「うん。どうして、女の子を特別視するの?」

「そんな、つもりは・・・」

何が言いたいんだろう?


「もうすぐだからね」

「うん」

そのあとは、会話がなかった。

いや、覚えていない。


河原さんは、ビルの中に入っていく。

何があるんだ?

このビルに・・・

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