コラム 果てしなく遠い「聖地巡礼」という名のお宿(ホテル)
アニメや漫画などで「聖地巡礼」という言葉がある。
元々はキリスト教やイスラム教に関連する遺跡などに信者が行き、祈りを捧げる言葉だったが、いつの間にか漫画やアニメの舞台に実際に行くこともさす言葉になった。
この現象は何も日本国内だけではない。
神奈川県鎌倉某所では某バスケ漫画(アニメ)の聖地として、今でも多くのファンが来てマナーなどで問題になっている。
私のやっているお墓参りツアーも聖地巡礼と言えば、そうかも知れない。
他にも東京のバスターミナルなど『シティーハンター』や『森崎書店の日々』の舞台である神保町にも行った。
子供の頃は、当時は知らなかったが、クランプの『レイアース』で出てきた東京タワーにも家族旅行で行った。
しかし、私には行ってみたい『聖地』がある。
作家の常宿だ。
決して、カプセルホテルばかりで朝食を吉野家やマックで済ますのが嫌なわけではない。
(吉野家で好きなのはアタマ大盛の牛丼、マックはポテトフライが好きです)
まずは、シバレン(柴田錬三郎)先生の常宿(と書いて、『缶詰め』)だった『高輪プリンスホテル』
ファンサイトがあった時代から掲示板で「行ってみたい」と管理人さんと話題にしていた。
高輪である。
プリンスである。
ハイクラスである。
私が毎年利用するようなカプセルホテルみたいに畳一畳分しかないプライベート空間ではなく明るく開放的な部屋。
シェフが作る美味しい料理。
温かいお風呂(カプセルホテルはシャワーが基本。中にはお風呂もあるけど)。
――今年は奮発して高輪プリンスホテルでも行ってみんべぇか?
ええ、一部屋一万円ぐらいだと思っていたんですよ。
ホテルの公式サイトを見たら十四万円でした。
藤島じゅん先生(漫画家)風に描くなら目と口から吐血です。
十四万円あったら、職場の後輩君の魂がある四国へ行けます。
香川のうどんとカツオのたたき(塩)食い放題です。
『え? 何? シバレン先生は何泊したの!? 多分、編集者持ちだろうけどすげぇえええええええ!!!』
そして、思った。
『ま…まあ、池波正太郎先生の山の上ホテルなら結構リーズナブル価格かも知れないじゃん?』
脳みそが十四万円で半ば混乱してても理性を保とうとする私。
なお、先に山の上ホテルの関係者の方がいたら先に謝るが、代表作『剣客商売』を初めて読んだ高校生時代の私は「山の上のホテル」と勘違いして、勝手に栃木辺りのホテルと思い込んでいた。
ネットの知り合いと街歩きをしていた時に「ここが、山の上ホテルだよ」と指さして、初めて自分の勘違いに気が付いた。
さて、宿泊費をネットで調べる。
いい時代である。
一万円台からで、この心情を藤島じゅん先生に描いてもらったらシバレン生成同様吐血だ。
一万円あったら師匠(原幌氏)へのお土産代を高くできるし、新幹線乗れる。
池波先生は、書籍類などから推測して長くて一か月ぐらい連泊していたようだから…
吐血、再び。
流石、大家だ…
ま、老後の楽しみということにしておこう。
でも、親切なナイスジェントルマンがポーンッと一億円ぐらい出してくれたら行ってみたい。(「現実を見ろ」と師匠に言われそう)
当分は、お墓参りしてカプセルホテルにお世話になるだろう。
今年のホテルも既に考え始めている。
今回から新規(新規でいいの?)遠藤周作先生のお墓参りも入るので神田のナインアワーズになりそうだ。
実はこのナインアワーズは『森のシャンプーはスースーする』のホテルだ。
あの美味しいお寿司屋さんやっているかしら?
今から少しワクワクしている。
暇人の集い 特別編 隅田 天美 @sumida-amami
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