隅田、寿司屋に行った(カプセルホテルに宿泊するまで)
私が通院する精神科の医師は、私が東京に行くことを知っている。
「隅田さん、来週東京に行くんだって?」
電子カルテに記入しながら医師は聞いた。
「はい。だから、薬は二週間分ください」
「だったら、美味い寿司屋を知っているよ」
「白い巨塔に出てくるような万札飛び交う高級寿司屋さんですか? 無理ですよ」
「違うって……まあ、一万円はしないよ。でも、美味いよ」
その寿司屋はネットでも結構知られた寿司屋であった。
食べログでも評判がいい。
だが、私の中で回ってないお寿司屋さんの主人は物凄く強面のイメージがある。
加えて、私は食通とかが嫌いな人間である。
生半可なグルメ漫画を見るとイライラする。
こんな人間が強面(&強情)な店主のいる寿司屋で楽しく食事が出来るのだろうか?
地図アプリとにらめっこして歩く私には不安しかなかった。
何度か道を間違え(どうも、地図アプリとは相性が良くない私)、その寿司屋についたのは開店数分前だった。
場所はまさにガード下の、昭和演歌が似合いそうな路地に店はあった。
戸は開いていた。
「こんちには」
とりあえず、挨拶して入店。
「いらっしゃい」
どこかの回転寿司のように怒鳴るわけでもなく、静かな言葉だった。
カウンターだけの小さい店だった。
とりあえず、椅子に座る。
「何を飲みますか?」
店主が聞く。
動揺する私。
――酒は明日もあるから飲めないだろう
――でも、ジュースもない
「えーと、お茶、あります?」
この言葉を出すのに二十秒かかっている。
「あがりですね。ありますよ」
熱々のお茶が出てきた。
横のテレビではNHKでニュースを流していた。
「一人前にしますか?」
「いえ、注文します」
一人前というのが実は私にとってとても厄介なものだ。
私はとても偏食でイクラが嫌い。
紫蘇も嫌い、大葉も嫌い。
これがあるだけで私は食欲が失せる。
納豆巻きなんて出たら最悪である。
だから、注文にした。
まず、海老を頼んでみた。
手で握られた寿司はほのかに温かく口の中でほどけた。
海老も噛み応えなどがあり美味しい。
そして、山葵が効いている。
温くなったお茶で抑えるが、普段回っている山葵なしの寿司に慣れていると山葵の辛味はかなり衝撃的。
烏賊、甘エビ、マグロにサーモンなどを頼み、計四千円(税込み)。
大変美味しかったです。
さて、店を出たのが午後六時前。
このまま帰って寝ることもできるが、私は少し街を散策した。
ゲームセンターでは私の好きなパズルゲームがほぼなくほぼオンライン対戦になっていた。
時間つぶしにカラオケボックスで冷たい日本茶を飲みながら「蛍の光」「FLY ME TO THE MOON(エヴァンゲリオンバージョン)」あと数曲歌い一時間コースなのに三十分で出た。(それ以上持ち歌がない)
コンビニで薬を飲むための水を買い、カプセルホテルに戻った。
次回予告
次回はホテル内のことを書こうと思います。
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