年に一度のわがまま(いや、もっとしているだろ?) 原幌平晴編
今まで登場した柴田錬三郎、池波正太郎、浜辺祐一、三氏は直接会ったことはないし声も知らない。
ただし、今回登場する原幌平晴氏は違う。
私の直接のモノガキの師匠である。
最初に知り合ったのはネットだった。
今は無き、『YAHOO! 掲示板』リレー小説で出会ったのが初めてだった。
当時の私は(今でもそうだけど)周りが見えず、「こうだ」と思うと行動することがあった(発達障害の影響も考えられる)。
私の書いた投稿に反応したのが、原幌氏であった。
暴投にも近い投稿を上手に受けて、受けやすい返信を出してくれた。
凄く嬉しかった。
少しずつ交流するようになった。
そこで起こったのがアメリカ同時多発テロ、9.11テロである。
私は、原幌氏に少し物知り顔でメールを書いた。
ところが、これが彼の逆鱗に触れた。
生まれて初めてメールを見て泣くという体験をした。
恐怖で涙したのだ。
感情的な言葉一切ない。
でも、ただただ、怖かった。
そして、なぜか思った。
――この人の弟子になりたい
今、こうして改めて考えると、なぜ、そう思ったのか明確には思い出せない。
ただ、メールで謝罪して東京に行くとき(お墓参り)に面会したい旨を書いた。
初めて会ったのは赤坂にあるTBSのウルトラマン像の前だった。
理由は簡単。
私の好きな伊集院光のラジオ(「深夜の馬鹿力」)でやたらネタにしていて、「目印なら目立つほうがいい」と思っていたから。
(「え? そんな理由だったの?」と師匠は驚くだろう)
それから、二十年以上。
作家のお墓参りの後には原幌氏に会って飲みにつれて行ってもらう。
待ち合わせ場所は新宿駅近くの喫茶店になり、私も白髪が少し生えるようになった。
原幌氏も結婚され、子供が生まれた。
それでも、年に一回だけ会う。
もっとも、鬱の酷い時などは電話で何度も慰めてもらったり、SNSでのやり取りも時々(?)にやっている。
改めて考える。
――私は何故、原幌氏を師にしたのか?
色々理由はある。
まず、私の苦手なことが得意なこと。
例えば、私は基本的に中年男性を書くのが得意だが、若者や子供、特に若い女性を書くのが苦手だ。
師は、自由自在である。
子供も書けば老人も主人公の時もある。
あと、ちゃんと資料を読み込んで作品に反映させているところ。
難しいことなども分かりやすく読者に伝えている。
それから、理論的なところ。
『ゼロから始める異世界工業化 』はファンタジーでもあるが、同時に貨幣経済などの要素がある。
長々考えたが結局のところ、今現在考えられる最大の要因は、師の話が勉強になり、かつ面白いからだろう。
会ってみたいと思う。
だから、会うのだ。
(ただし、東京という遠方であることと師の多忙さを考えて年に一度だけ)
会ってから二十年。
今でも、緊張してドキドキするが、わくわくもしている自分がいる。
最後に。
いつか、私が連れて行ってもらった居酒屋で作家の墓参りの話をしたときのこと。
自嘲気味に私は言った。
「向こうからすれば迷惑なのかもしれませんけどね」
すると、師は真面目に言った。
「そんなことはないよ」
嬉しかった。
師匠へ。
今年もよろしくお願いします。
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