第8話 初恋の少女と同僚の騎士が仲が良くて羨ましい
巫女のホムラとの距離を以前よりほんの少しだけ縮めたフェイ。
そんな彼は、日常の中でホムラの思わぬ一面を見る事になる。
それは、彼女と、そしてリシアと共に不意に赴く事になった茶会での出来事。
この世界を支える賢人達の為の集会にて、穏やかに談笑するホムラの笑顔は、他の誰でもないリシアに向けられたものだった。
打ち解けた様子で談笑する二人の様子は、本当の姉妹としてもおかしくないような光景だった。
「私が目を離したすきに、変な輩に絡まれなかったでしょうね」
社交スマイルで賢人の一人との会話を終えたホムラは、真っ先に護衛であるリシアたちの所へと戻って来た。
リシアはその言葉に笑って答える。
「あはは、大丈夫ですよ。ホムラ様。私達は護衛ですし、オマケなんかに声をかける物好きはいませんって」
「どうかしら、たとえ好意が無くとも利用しようと近づいてくる輩は多いのよ。気を付けるに越した事はないわ」
「もう、ホムラ様ってば……」
仲睦まじく会話をする二人の傍で、フェイは壁の花と化すばかり。
彼に話が回って来るのはごく稀だった。
「フェイ、貴方ちゃんと目を光らせててって頼んだでしょう。大丈夫だったんでしょうね」
「いや、俺達はエルミア様の護衛で付いてきたんですから。気を付けるのは、貴方の方が優先でしょう」
「私の事はどうだって良いのよ。他の誰でもない私が良いって言ってるんだから良いの」
「また、無茶苦茶な……」
日々を経て慣れてきたホムラの無茶ぶりにも、本日のその日だけはいつもより拍車がかかっていた。
「ホムラ様、ほら他の賢人の方が話しをしたそうにこちらを見てますよ」
「いやよ、私が話をしてる内にリシアに変な虫が着いたらどうするのよ」
「私は大丈夫ですから、ほら……」
リシアに促されて渋々と言った様子でその場を離れていくホムラ。
「エルミア様と仲が良いんだな。名前で呼んでるみたいだし」
主がいなくなった事で緊張が抜けたフェイが抱いた疑問を口にすれば、リシアは照れくさそうに応えていく。
「ホムラ様とは……まあ、幼い頃からの付き合いだからかな。フェイも頼めば、名前で呼ぶの許してくれるよ」
「別に焼いてるわけじゃない。ただ疑問に思っただけだ」
幼い頃から付き合いがあるというホムラとリシア。
二人が姉妹の様に仲良くなった理由について興味がひかれたフェイは、その話をいつか聞いてみたいと思っていた。
いつか、リシアと同じようにホムラに信頼される様になったら、と。
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