第1話 ラックスキル999

 俺が森に落ちた時、木の枝がクッションになったのか、俺は奇跡的に無傷だった。そして偶然かステータス画面が目の前に現れた。

 

 ステータス画面

 

 名前:ハネヤマナイト


 年齢:14


 性別:男


 ラックスキル999: カンスト

 

 その他 凡人: カンスト


 シンプルすぎるだろ。あの女神絶対に許さないからな。それに転生したのに名前一緒かよ。年齢も性別も一緒って本当に転生したのかよ? あとその他って何だよ? RPGみたいに攻撃力とか守備力とかあるだろ。全部ひっくるめて凡人、しかもカンストって最悪なんですが。


 これってつまりどう努力しようとも凡人以上はなれないんだよな。ラノベだったら1刊即打ち切りの内容じゃねーか。そこで俺はステータス画面のある場所を見た。


 うん? 何だラックスキル999カンスト?


 これだけ違うな。ラックスキルって要は幸運だろ。女神は人並みって言ってたが、振り分け間違ったのか? まあいいか取り敢えずお腹すいた。


 俺が森の中をさまよって歩くこと5分、頭上に木の実がぶら下がっていた。


 ラッキー。取り敢えず木を蹴るか。登れる高さじゃねーしな。


 木を思いっきり蹴ると木の実が沢山落ちてきた。幸運にも自分の体に当たることなく、全て地面に綺麗な形で落ちた。


 「前世の林檎りんごに似てるな。ラックスキル999を信じて食べてみよう」


 俺は緊張しながら林檎りんごに似た木の実を口に入れた。


 甘い、甘いぞ。これなら食べられる、果汁もあって喉の渇きも潤される。ラッキー、これってやっぱりラックスキル999のお陰だよな。


 他にも色々試してみよう。俺は木の枝を使って火を起こして見せる。すると見事火が点いた。


 このラックスキル999について理解できたぞ。ようするに、とてつもなく幸運な人生を歩める訳だ。


 ある意味チートじゃねーか。ここはどこだか分からないがとにかく直感のまま俺は東に向かって歩くことにした。俺が東に向かって歩くこと30分程度だろうか、正確な時間は時計がないので不明だが、大体30分程度と俺は認識した。


 小屋だ。小さいけど人が住んでそうな小屋だな。訪ねて見るか。


 「ごめんください。森で迷って困っているんですが誰かいませんか」


 誰もいない。ラックスキル999じゃねーのかよ、何で誰もいないんだよ。やっぱりチートとは程遠い存在なのか俺は?


 あ、鍵が開いてる。俺は勝手に小屋に土足でお邪魔することにした。ラッキー、やっぱり幸運な人生だ。


 多少の食料と水があった。リュックサックもあったので多少の食料と水をリュックサックに無断で入れて背負う。おお冒険家っぽいぞ。


 地図もあったので無断だが頂くことにした。文字が読めるぞ、ラッキーすぎる。


 何々、ここから一番近い町はレントーという町のようだ。行ってみよう。


 こうして俺のラックスキル999の人生が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る