第11話

「しかし、喜びも束の間じゃった、浜に出てやっとわかったのはその艦艇らは日本海軍のものではなくアメリカの艦艇じゃった。わしらを確認すると機銃掃射をしかけてきて、わしの顔の横を弾がかすめたと思った瞬間に、前にいた小隊長が崩れておちた。


 即死じゃった・・他の仲間も倒れ、わしは仲間の事なんぞ無視して、がむしゃらに逃げた。とにかく生き残る一心で・・


 来た道の密林の中に再び入ると方向感覚なんぞ構いなしにわしはひたすら走り、そしてなにかにつまずいて転んだ。足下を見ると同胞の白骨化した死体じゃった。わしはそれを見た瞬間に全身の力が抜けて、生きる気力が無くなり、そのままその場に倒れた。


 白骨化した死体は大きな木の側にあり、わしもその大きな木に寄りかかり、そのままこれまでの人生が走馬灯のように頭をよぎった。」

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