第10話
「小隊長のいつにもなく熱い訓示を聞いてわしはとても嫌な予感がした。これがおそらく小隊長の最後の言葉になるだろうと・・
わしらは島の東南目指して最後の力を振り絞り力のかぎり歩き続けた。わしももう限界じゃったが、唯一気力を支えてくれていたのは日本にいる家族と、美味しい白米をたらふく食うという気持ちだけだった。夜になり、辺りが虫の音色だけ聞こえてきてもわしらはひたすら歩きつづけ、やっと海岸が見えた時じゃった。
艦艇が見えたんじゃ。ついに大日本帝国海軍の駆逐艦がわしらを拾いにきてくれたんだと思い、その場のわしも含む、もちろん小隊長も大声をあげ砂浜めがけて走り出した。
どこにそんな大声をあげる力なんかあるのかと思うくらいの大声でな。」
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