第9話

 「なんの根拠もなく、わしら数週間前の情報をもとに島の東南海岸沿いをひたすら歩いて目指した。来る日も、来る日も、足が棒になり、飲まず食わずの中ひたすら歩いたんじゃ、次々と仲間が栄養失調と病気で死に、昨日までわしと仲良かったやつも、朝目が覚めたら隣で目を開けたまま死んでおった。


 とうとうわしらの部隊はわずか5人だけになってしもうた・・小隊長は死んだ仲間が持ってた僅かな木の実の食べものや、弾丸が入ってない小銃、そして使えるものは全て取り、仲間を丁寧に埋葬したあとにわしらに言った。

 "みんなもう少しの辛抱だ!!この先をあと少し行けば仲間が待ってる。そしたらみんな日本に帰れるぞ!!温かい真っ白なご飯に、具沢山の味噌汁、ほくほくしたさつま芋をたらふく食えるぞ!!あと少しの辛抱だ。死んだ仲間達のためにも我らは生きて生きて生き抜くのだ!!自決は許さん。生きろ!!"


それが小隊長の最期の訓示だったんじゃ・・

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