輝きを求めて㉗『世界の終わり』

「え……どういうこと?」


「世界を創ったって……?」


「な、何を言って……」


 清治の口からその事実が告げられた瞬間、生徒たちの間に大きなざわめきが広がった。

 先程のオオカミ男の騒動だけでも頭が追い付かないというのに、さらにそれに追い打ちをかけるような突然の告白。

 混乱と情報過多のあまり、生徒たちはただただ困惑するしかなかった。


「……戸惑う気持ちは分かる。あまりにも非現実的なことを言っている自覚はあるしね。

 けど、これは本当のことなんだ。

 もう一度言う、ここは俺の持つ特殊な能力によって創られた世界だ。現実じゃない」


 だが、清治はそれに構うことなく念押しの言葉を続ける。

 さすがの生徒たちもこれが聞き間違いの類ではないことを悟り、混乱の渦はさらに大きくなった。


 戸惑う者。

 話半分に聞く者。

 清治の正気を疑う者。

 余りの突拍子のなさに罵倒を浴びせ掛ける者。


 殆どがそういった、ある意味では正常な反応を見せる。

 しかしほんの僅かに、


「11年前……?

 そうだ。俺、確か……」


「そうだ、本当の私は……高校生なんかじゃない……!」


 そうでない反応を示す生徒もいた。

 その様子を確認し、清治は再び口を開く。


「……今の言葉で、違和感に感づいた人もいたみたいだね。

 そうだ。今は記憶が薄れていってるせいで分からないかもしれないが、本当の君たちは高校生じゃない。11年後の世界を生きる人間なんだ。

 言うなればここは、リアルな夢と思ってくれていい……おそらく元の世界の君たちは、今頃深い眠りについているだろうから」


「お、おいちょっと待ってくれキヨハル!」


「泰士」


「いや何つーか、お前の言う事だから多分嘘じゃねぇだろうが……な、何を言ってんだよオマエ!?

 11年前の世界だの夢だの……!」


 泰士は朝礼台の前まで駆け寄り、 訴えるように叫ぶ。

 しかし清治は小さく微笑み、なおも言葉を続けた。


「泰士……さっきの亜紀への告白、すごかったよ。

 11年後もそうだったように、やっぱりお前は一途に彼女を愛し続けてるんだな……本当に、尊敬する」


「キヨハル……?」


「……すまない、本題から逸れてしまった。話を戻そう。

 そうだな……こうして話すよりも実際に見せた方が手っ取り早いか。

 みんな、時計を見てくれ」


 清治は右手を前に掲げ、目を閉じる。

 すると本校舎中央に掲げられた時計の針が、急速に動き出した。


 一時間を、体感数秒にて駆け抜ける。

 最初は生徒たちも半信半疑であったが、


「お、おい見ろよ朝日だ……!」


「嘘……」


「マジで、別の世界……!?」


 凄まじい早さで上る太陽を見て、その疑念は確信へと変えられた。


「……感覚の赴くままに初めてやってみたけど、上手くいったみたいだ。

 とりあえず今のである程度は納得してくれたと思う。ここは俺の作った現実世界とは違う、別の世界であるということを」


 清治は瞼を開け、校庭全体を見回す。

 そこでは生徒たちは既にざわめきを止め、固唾を飲んでその言葉に聞き入ろうとしている姿があった。

 ただ一人の少年を除いて。


「あ、あの! 浅野君!

 僕からひとつ聞いてもいいかい!?」


 それは3-Bのクラスメート、仲木戸 智弘。

 英人の活躍で『人狼ワーウルフ』からの被害を逃れた彼は、あざみを傍らに朝礼台の前へと歩み寄る。


「仲木戸……ああ、どうぞ」


「じゃあ単刀直入に聞くよ……僕らはこの世界から、無事に出ることは出来るのかい!?

 皆の為にも、どうか正直に答えて欲しい!」


 その質問に、周囲の生徒たちの視線は一様に強まる。

 やはり世界がどうのこうのと言う前に、無事に脱出できるかどうかは多くの生徒たちにとって気になるところだった。


「結論から言うと、可能だと思う。

 ちょっと曖昧な表現になってしまったのは、俺自身がこの力に慣れていない部分もあるからだけど……最善は尽くすつもりだ。

 だからこそ、こうしてここに立って全てを晒す時間を設けようと思ったんだ」


「……信じて、いいんだね?」


「出来れば、信じて欲しい」


 二人は一瞬、互いを見合う。


「分かった、今は信じるよ」


 そして智弘は小さく頷いた。


「……ありがとう。

 先程も言ったように、この世界は乱暴に言ってしまえば夢の世界だ。

 だから目が覚めれば当然、元の世界……つまりは11年後の10月18日に戻る。

 もし何らかの怪我を負ったとしても、それはあくまでこの世界における肉体での話だ。元の肉体までは傷ついていないはず。だからどうか、安心して欲しい。

 そして最後に、俺がこんな世界を創った理由だが……」


 清治は僅かに目をそらし、司会席に座る英人を見た。

 さすがにこれまでの疲労と負傷によって顔色は未だに良くないが、変わらず真剣に清治の話を聞いている。

 そしてこちらを見る視線に気づき、続きの言葉を促すように小さく頷いた。


「一言で言ってしまえばそれは……俺の、ちっぽけな未練だ。

 『もう一度高校生活をやり直したい』という俺の中の未熟な願望が肥大化し、皆を巻き込む結果となってしまった。

 つまりこれは……俺自身の弱さが招いたことだ」


「キヨハル……」


「だからさっきのオオカミ男……『人狼ワーウルフ』のような化物に付け入れられてしまったのも、当然だ。

 そのせいで皆には危険な目に合わせてしまった……本当に、申し訳ない」


 清治はマイクを下ろし、深々と頭を下げる。


 その様子に、生徒たちは驚いた様に息を飲んだ。

 思えば、この学校一の人気者がここまで深く頭を下げたことはなかったかもしれない。

 そんな人間が必至に謝る姿を、翠星校生たちは初めて目撃したのだ。


 それはおそらく時間にして10秒あたり。

 だがその場にいる人間にとっては、その何倍もの時間のように感じられた。


「……もちろん、これだけで許してもらおうとは思ってない。

 俺は結局その『人狼』に対して何もできず、代わりにそこにいる八坂 英人君と桜木 楓乃君に退治してもらっただけだしね。

 お陰で何とか大事に至らずに済んだ。この場を借りて感謝する……ありがとう」


 清治は頭を上げ、今度は司会席に座る英人と楓乃に向かって頭を下げる。

 智弘とあざみも一瞬遅れてそれに続いた。


「……フン」


「ま、素直に受け取っとく」


「本当に、ありがとう。

 さあそれじゃあ、今から君たちを元の世界に返そうと思う……こんな夢に付き合わせてしまって、本当に済まない」


 清治はゆっくりと右手を上げ、生徒たちに向かってかざす。

 すると集団の外側から一人ずつ、生徒の肉体が光を放ちながら霧散し始めた。


「か、体が消えていく……!」


「マジかよ……!」


「おそらく君たちが次に目を開ける時は、10月18日の明け方頃になるだろう。

 もちろん、11年後のね」


 まるで朝日に浄化されるかのように、次々と生徒たちの姿は消えていく。

 一年生も、二年生も、3-Bのクラスメイトも。


 そして――


「うぉっ、俺らもか……!

 おいキヨハル、これ大丈夫なんだよな!」


「ああ、大丈夫だ」


「そ、そうか! じゃあ一緒に行くぞ亜紀!」


「分かったからそんあ抱き着かないでって! 恥ずかしい!

 えーと……じゃあ浅野君、また11年後ってこと?」


「そういうことになるかな。

 出来れば、また友達として会ってくれると嬉しい。

 それに言うのが遅くなってしまったけど……二人とも、結婚おめでとう。末永くお幸せに」


「そ、それって――」


 消え去る直前の亜紀の質問に、清治は小さな微笑みだけを返した。

 そして次は、この少年の番。


「……っ、僕も……!」


「仲木戸君……!」


 光を放ちながら消えゆく智弘の手を、あざみが掴む。


「山手さん……」


「あの、えっと……助けてくれてありがとう!

 あの時の仲木戸君、すごくカッコよかったよ!」


「あ、う、うん――!」


 照れで思わず顔を赤らめる智弘。

 そしてそのまま、二人も光と共に消え去っていった。


 いつしか校庭にいた全校生徒は全て消え去り、残るは清治と英人、そして楓乃。

 氷漬けのまま気絶している廉次も入れれば、たったの4人のみ。


「俺らは居残り、か……。

 まあ予想はしてたけど」


「すまないね。

 やっぱり君たちには、この世界の最後まで付き合ってもらった方がいいと思って」


「ま、言われんでも見届けるつもりではあったが……桜木はどうだ?」


「そうね……」


 楓乃は氷扇を顎に当てて考え込むが、英人はそれをフッと笑う。


「もう日は出てるから無理しなくていい。

 元の『桜木 楓乃』に戻っていいよ」


「あ……コホン、そうですね。

 私も八坂先輩と同じく、最後までこの世界にいたいです。せっかくですし」


『D・D』の演技を止め、楓乃は元の柔らかい笑顔を見せた。


「ありがとう、二人共。

 さっきも言ったけど、二人のお陰で大事にならずに済んだ。

 仮初の世界の仮初の肉体、と言っても入っている人格は本物だからね……もし瀕死の怪我を負えば、元の世界でそのままショック死する危険性だってあった。

 本当に、いくら礼を言っても足りない」


 朝礼台から降り、清治は再び深く頭を下げる。

 かつての同級生に向かって全てをさらけ出したからか、その佇まいはどことなく憑き物が取れているようだった。


「ふっ……で、最後の締めはどうするんだ?

 おそらくこの面倒な世界のことだ、このまま自然消滅ってことはないだろ」


「ああ。

 この世界は、俺の未練から生まれた。

 つまりはその未練を断ち切ることこそが、この世界の消滅に繋がる。

 だから――」


 清治は息を整えつつ、ゆっくりと歩を進める。

 そして楓乃の座る席の前に、ピタリと立ち止まった。


「桜木 楓乃さん。

 もしよければ……屋上まで来て欲しい。

 君に、その……伝えたいことがあるんだ」


 それは浅野 清治にとって既に敗北の決まった、一世一代の挑戦だった。







 ――――――



 ――――



 ――





「よう」


「……ああ、八坂か」


 英人は屋上のドアをそっと閉め、ゆっくりと清治の下まで歩く。


「もう結果の方は、彼女から聞いてしまったかい?」


「いや、特には。一応階段ですれ違ったけど、大した話はしなかったな。

 結果は本人から聞けってことなんだろ」


「……そうか」


 清治は自嘲するように小さく笑い、柵へと寄り掛かる。


「で、どうだったよ」


「見事に玉砕さ」


「そうかい」


 そう小さく返事をしながら、英人もそのすぐ隣へ背中から寄り掛かった。


「好きな人がいるから、ごめんなさいだってさ。

 まあ、分かりきってた結果なんだけど……」


「ありゃ。学校一の色男でも、人気女優を落とすのは駄目だったか。

 やっぱ芸能人ともなると理想が高いのかね?」


 英人は親指で顎を掻きつつ、うーむと考え込む。

 清治はその様子を横目で見つつ、


「……ある意味、そうかもしれないね」


 そう小さく呟いた。


「ま、あいつの好みはこの際いいか。

 それより……もう、思い残すことはないんだな?」


「ああ、もうない。

 残念な結果に終わったのは事実だけど……うん、スッキリした。

 いきなりの告白を受けてくれた桜木さんには、感謝しないとね」


「ま、あいつ関しちゃ大なり小なりされ慣れてそうだけどな」


「確かに」


 二人は小さく声を上げて笑う。

 その姿は端から見れば、軽口を言い合う悪友のようだった。

 

「……はぁ。

 うん、悪くない」


「何がだよ?」


「みんなに全てをさらけ出すことさ。

 今まではずっとため込むというか、隠したり演じたりするばかりだったからさ。

 学生時代からそうだ。やっぱり一度「人気者」という席に座ってしまうと、中々自分から降りる勇気が持てなくなる。失うことが怖くなるんだ」


「持ってしまったが故の苦悩、か」


 清治は小さく頷きつつ、続ける。


「でも、そんなことが通用するのは学生時代までで……社会に出れば、培ってきたものは意味すらなくなる。素の自分というか……弱い自分と、向き合わなくてはいけなくなるんだ」


「……そういやお前、11年後は何やってんだよ?」


「商社マンさ。それも五大商社の中の一つ」


「おお、さすが」


 五大商社と言えば、今も就活で大人気の企業のひとつ。

 海外勤務も多く、それに年収についても若くして一本を超えるような、まさに「エリート」という言葉が似合う職業だ。


 世間的に見ればかなりの「勝ち組」と言われる部類。


「会社はすごくても……俺は全然だよ」


 しかし、清治は苦笑しつつ首を振った。 


「全然って……11年後も学生やってる俺が言えた義理じゃないが、仕事やってりゃミスの一つや二つやるだろ?

 たまたまそれが重なったからといって、そこまで引きずる必要もないと思うが」


「いや、そういうことじゃないんだ。まあ決してミスをしなかったって訳じゃないんだけど。

 ただそれよりも……会社に入って、自身のレベルの低さをこれでもかって思い知らされた方がね」


「レベルが低いって……お前がか?」


 英人は柵に寄りかかったまま視線を横にずらし、清治の横顔を見る。

 学生時代あまり言葉を交わしたことがないとはいえ、英人もまた清治の完璧超人さを目の当たりにしてきた一人。

 なのでその自分を卑下するような言い様が、にわかには信じがたかった。


「本当、社会に出ると上には上がいるよ。上司、先輩、同期はもちろん、俺より下の年代にもね。

 別に自分の能力を過信してたわけじゃないんだけど……正直、もっとやれると思ってた。でもいいとこ中の上どまり。

 つまりこの学校じゃ一番の人気者だった男も、会社に入ればただの平均レベルの社員だったってことさ。我ながら笑える。

 そしてだからこそ『もし、学生時代に戻れたら』、なんてことばかりを考えるようになってしまった」


「もし、学生時代に戻れたら……か。

 別にそれくらい、俺だって考えたことはあったさ」


 それこそ、あっちにいた時は――喉まで出かかったその言葉を英人は飲み込む。


「そりゃあ八坂に限らず、ほぼ全ての社会人が一度は夢想するだろうさ。

 でもなまじ学生時代が充実していた分、俺はその妄想に入れ込みすぎていた。

 だからだろうな……俺が付け込まれてしまったというのも」


「やはり、誰かからの介入があったか」


「ああ。微かにだけど、覚えてる。

 この世界を創る前、俺はある少年に出会ったんだ」


 清治は柵の手すりをギュッと掴む。

 そして英人も、その少年というものに覚えがあった。


「……有馬 ユウか」


「名前までは聞いてない。

 でも黒髪の、それこそどこにでもいそうな普通の学生だった」


「そうか……」


「いつものように仕事から帰る途中、奴はすれ違いざまに言ったんだ。

 『その願い、叶えてあげるよ』って……そしてそこから先の記憶がない。

 気付けば3-Bの教室に俺はいた……!」


 表情を歪める清治を横目に、英人は腕を組む。


 もし清治の証言が本当であれば、有馬 ユウは他人の『異能』に何らかの介入が出来る能力を持っていると考えられる。

 だからこそ、本来は元翠星校生しかいないはずのこの世界に平然と立ち入ることが出来たのだろう。

 しかし、問題はそれをやった動機。


(やることが半端と言うか、何と言うか……)


 清治の『異能』に、廉次の『人狼ワーウルフ』。有馬はそれらに介入こそしても、その後は放置同然に傍観を決め込んでしまっている。

 まるで結果などどうでもいいとばかりに。


 英人はそこに微かな違和感と不安を覚えたが、ほとんど情報のない現時点では答えに到達することは出来なかった。


「あの少年……一体何者だったんだろうか」

 

「それは分からん……が、まあ放ってはおけん。

 対応策についても、戻ってからだな」


 英人はよっ、という声と共に柵から背を離し、伸びをしつつ立ち上がる。

 そして振り向き様に、


「で、後はもう世界が終わるのを待つだけでいいのか?」


「ああ。もうすでに世界が崩壊しかけてる感覚がある。

 多分そう時間は掛からないよ」


「そうか……じゃあ少しだけ暇になるな。

 さてどうするか」


「だったら、彼女の所に行ってあげなよ」


「ん、桜木の所に?」


 首を傾げる英人に、清治は頷く。


「ああ。せっかくだしさ、かつての先輩後輩で最後を過ごすというのもいいじゃないか。

 なんというか……俺からのお詫びとお礼の気持ちとでも思って」


「うむ……」


「多分、その方が桜木さんも喜ぶ。

 ほら、行先は分かってるんだろ?」


 清治は柵から身を起こし、英人の背中を軽く叩く。

 そしていつもの、あの爽やかな笑顔を見せた。


「分かったよ。

 じゃあお言葉に甘えて、行って来る」


「ああ…でも、最後に一つ」


「何だ?」


「さっきから行ってる通り、この世界は夢に近い。

 だから……」


「起きたら殆ど忘れてる可能性が高い、そういうことか?」


「ああ」


 力なく、清治は頷く。

 おそらくその部分に関しては、当人ですらコントロールは難しいのだろう。


「なら大丈夫だ。

 一応、記憶力には自信があるからな」


 だがそれに対し、英人はこめかみをトントンと叩きながら笑顔で返した。


「そうか……じゃあ、一つだけ俺と約束をしてくれないか?」


「約束?」


 唐突な清治の言葉に、英人は思わず首を傾げる。


「もし目が覚めて、それでもこの世界での出来事を覚えていたら……俺と、飲もう。

 実はいい店、知ってるんだ」


「ほう……いい店とな?」


「ああ、雰囲気のいいバーなんだ」


「いいねぇ……分かった、約束する。

 たらふくご馳走してくれよ?」


 くいくいとグラスを煽る仕草をしながら、英人はニヤリと笑う。


「一応こっちは高給取りだからな、任せてくれ」


「おおさすがは商社マン、頼りにしてるぜ……じゃあな」


「ああ、それじゃあ」


 そして清治は手を振り、英人はそれを背に屋上を後にした。

 後に残るは、清治ただ一人。



「……これで、よし」


 英人が去ったのを確認すると、清治はその手を止めてそっと胸に充てる。

 するとどことなく締め付けられるような胸の鼓動が、手の平に伝わってくるのが分かった。


「痛い……いや、苦しいかな?

 成る程、これが失恋か。まさかこの年になって、それを知るとはね……我ながら、情けない。

 でも、うん」


 悪くはない、と零しつつ清治は再び後ろを向いて屋上からの景色を見つめる。

 時刻は早朝、眩いばかりの朝日が学校全体を煌々と照らしていた。


「夕日もそうだけど……朝日も、良いね」


 清治は優しく微笑み、その光景を見つめ続ける。




 そして、しばらくの後。

 その輝きと共に、その世界は終りを告げた。

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