黎明の救国英雄譚

作者 眞城白歌(羽鳥)

87

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★★★ Excellent!!!

没入感が素晴らしいです。TRPGが元になっているということもあり、キャラクターの作りこみが深く、実在しているかと思うほどです。
そのため、まるで本当に彼らと冒険しているような臨場感があり、最後まで感情移入して物語を楽しめました。

ストーリー自体は、小さな事件がやがて大きな事件に繋がっていく、という王道をなぞりますが、計算された伏線と緻密な人物描写、そして種族や身分などの複雑な相関関係が相まって、世界の奥行きを感じさせる壮大な物語に仕上がっています。

キャラクター一人一人が生きていて、それぞれの考えを持ち、行動しているので、表で描かれるストーリーの裏で仲間たちが活躍していることを感じたり、時には隠された思惑に翻弄されるスリルを味わったりと、最後までリアリティーを感じさせる構造になっています。

文体は重すぎず、軽快ですが、要所要所の言葉選びにこだわりを感じます。印象に残るシーンの締めくくりなどには、余韻を感じさせるようなフレーズがあり、その言葉が教訓のように胸に残ります。

演出面においては、ど派手な展開で引っ張る、というよりは、時系列を追いながらリアルに、ありのままを描写していく手法で、その世界の生活感さえ感じさせる、TRPGらしい没入感と臨場感にあふれる描き方をされています。

登場人物が多く、相関図や伏線が複雑ながらも、本筋自体をシンプルに描き、軽妙な会話文で状況が説明されるので、混乱はしませんでした。これだけの情報量をここまで上手くまとめあげるのは、相当な技術だと思います。素直に嫉妬致しました。

長くなりましたが、一言で申し上げると、非常に面白いのでとてもおすすめです! 作り込みがしっかりとしたファンタジーを読みたい方はぜひ読んでみてください!