無常観に包まれて
今回の題名は、次の文から連想したものだ。
“祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅掃除の花の色、盛者必衰の理を表す。”
平家物語の、超がつくほど有名な序文。小学校か中学校で暗唱させられた人も少なくはないと思う。
諸行無常。今回はその意味でも考えてみようかと思う。
諸行無常……。口に出してみると不思議な響きがする。
意味を調べてみよう。
辞書(1994年、永岡書店刊・国語小辞典)によると、[世のありとあらゆるものはつねに移り変わり、不変のものはないという、仏教の根本思想。人生の儚さにも例えられる]とのこと。
なるほど、仏教用語か。
……言いたかったことがもうすでに言われてしまった感がある。
要約すると、「変わらないものはない」ということだ。
冒頭に挙げた、平家物語の序文では、「権力もいつかは廃れる」という意味で用いていた。人生はまさに“風の前の塵に同じ”というわけだ。
が、実のところそれだけでもないように感じている。
無常。すなわち何もかもが変わりゆく、ということ。
つまり、終わらない苦しみはない、とも取れるのではないだろうか。
もちろん、終わらない喜びや楽しみもない(こちらは本来の意味に近いだろうか)が、それならばその逆も成立すると考えたのだ。
もしもそれが本当ならば、いつか、この苦しみから解き放たれる日が来るのかもしれない。
今はそれがいつかはわからないが、いつかくることを願おう。
諸行無常。何事も変わらないものはないのだから。
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