ボランティア精神なんて存在しない。
こんな題名にしたが、別にいつものように世界に絶望したわけではない。むしろ悟った気さえする清々しい気分だ、というのは誇張表現だが。
この世には“無償の奉仕”という精神がある。日本人が大好きなモノである。それが悪化すればブラック企業になりかねない……という話ではなく。
無償の奉仕とは、結果や報酬を求めずにただ他人の幸福のために活動することだ。
……もうこの時点で矛盾が生じているではないか、というのが今日の俺の意見である。
結果や報酬を求めないとは、一体なんなのだろうか。他人の幸福、それが結果、そして報酬になっているのではないか、という話だ。
具体的な話をしよう。あくまで俺の体験談だが。
今日の朝、学校に向かうバスの車内で、知らない男性がパスモを落とした。
それは自分の足元に落ちていた。
拾おうとする男性はそこまで手が届かず、屈まなければいけなかった。
俺はとっさにそれを拾って男性に渡した。
男性は「ありがとうね」と言って席に戻った。
何気ない光景だが、自分に当てはめて考えて見て欲しい。もしも男性が「ありがとう」の一言もなく席に戻ったとしたらあなたはどう思うだろう。
きっと不快な思いをすると思う。
そう、それが結果や報酬を求める、ということである。
ボランティア活動でも同じことが言えると思う。
例えばあなたがボランティアで川岸の清掃をしたとしよう。
そのあとに、誰かに「ありがとうございます」と言ってもらうと嬉しくない人はいないと思う。
逆に、何も反応がなければあまりいい気持ちはしないだろう。
つまり、「見返りを求めない」と言いながらその実「他人の良い反応」という見返りを求めているのではないか、ということである。
だからどうということはないが、ひとつだけ言わせて欲しい。
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