お漬物にすると食感が似るんです
母様が作ってくれる赤カブの酢漬けが、美味しさを増す季節となりました。
「夕べ仕込んでおいたのよ」
「ありがとうございます」
夜の食卓に花を添えるような淡いピンク色……翌日にはもっと色鮮やかになると思うと、楽しみです。
「綺麗な色ですねぇ」
「今年は皮も一緒に漬けてみたの」
「だからいつもより発色が良いんですかね」
ひと切れ食べてみます。
「あんまり酸っぱくない……?」
「らっきょう酢を使ってみたのよ」
「これ、良いですね」
「まるちゃん酢漬けは好きだけど、あんまり酸味の強いのはダメでしょ?」
「お手数をおかけします」
あっさりした酸味とパリパリとした食感が、つい箸を伸ばしたくなります。
「美味しいですねぇ、このお大根」
「カブよ」
「え……?」
アホな娘は、やらかしたことに気づいていません。
「カブよ、まるちゃん」
にっこりと笑う母様の麗しい表情に、先ほどの発言を思い返しました。
「すいません! 無意識でした!」
たくあんと、ちょっと食感が似てまして……
「だと思ったわ。しょうがないわね、まるちゃんだから♪」
……なんでしょう……軽くディスられている……?
自業自得なので、ぐうの音も出ませんが。
その後、2回も「お大根」発言をし、その度に平謝りをする……というボケをかましました。
食事の最中も少しずつ色づいていく赤カブの酢漬けを見るのも好きなんですが……この日はそれどころではありませんでした。
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