第68話 歳の市天気予報

 歳の市の頃となりましたね。

 縁起物のお正月飾りや、神棚の御道具、破魔弓、羽子板などのお正月用品の市が、其処ここで立ち始めたとのニュースが流れ始めています。


 明治時代の東京の年中行事を記した『東京年中行事2』では、深川八幡、浅草観音、神田明神、芝の愛宕、平河天神と薬研堀の市が紹介されています。

 中でも最も賑わうのは浅草観音だそうですが、ちょっと気になる記載が。


「(前略)千二、三百軒と云う露店がずらりと店を並べて賑わうのであるが、年々十七、十八両日の内たいてい一日は降ることが多いと云われている。」


 確かに、本日十二月十七日は、浅草観音のある東京は雨です。

 去年はどうだったかと調べてみましたら、十七日は、雨のちくもりでした。

 さらにその前年も、前々年も、前々々年も、雨がちらつく空模様……

 今年を入れてのここ5年間、十二月十七日は、雨が降っていました。


 今回は日本気象協会のtenki.jpの過去の天気のページhttps://tenki.jp/pastで調べました。

 このページでは今年を含めた5年間が調べられるようになっていたのですが、明治時代から現代まで調べてみたら、雨も人間の生活には必須のものということからの観音様のご利益がわかって面白いかもしれません。



 話は変わりますが、ちょっと変わったしめ飾りがないかなと手づくり市をぶらぶらと見て回っています。

 ナチュラルテイストのセンスのいいお正月飾り、ありますね、ありすぎて迷ってしまいます。迷っているうちにいいなと思っていたのが売れてしまっていたりというのも、ありがちなことです。

 そして、空回りの買い物欲をなだめるのに、本を買ってしまうのです。


 『押絵羽子板』 松沢光雄著 古今書院 1980.

 『俳句歳時記 生活 <秋冬>』 楠本憲吉編 保育社 1976.


 この二冊は、和雑貨屋さんの店先古書文庫で見つけました。


 『押絵羽子板』は、江戸伝承手作りシリーズと銘打たれた一冊です。

 江戸、伝承、手作りと、興味のある言葉の羅列に、華やかな羽子板の写真に、心惹かれずにはおれませんでした。


 『俳句歳時記 生活 <秋冬>』は、季節ごとの行事の写真がふんだんに載っているのもよい上に、人物の衣装や髪型から出版当時の流行がわかるのも面白かったです。


 手づくり市では、季節ものの焼菓子など数種類を求めました。

 読書の合間のコーヒー用には、ほっそりとしたツイストタイプのクミンパイです。

 クミンの香りって、食欲をそそりますよね。

 野菜カレーが食べたくなりました。

 と、いつもの食べものオチということで、この辺で。



参考文献

『東京年中行事2』 若月紫蘭著 朝倉治彦校注 平凡社 1968年

 

 

 

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