第59話 特別展「中島敦展――魅せられた旅人の短い生涯」
秋薔薇の香りに誘われて、ベイブリッジを望む公園の文学館へ。
もう会期が終了するのを失念してました。
県立神奈川近代文学館の特別展「中島敦展――魅せられた旅人の短い生涯」を、慌ててご紹介、です。
「文豪ストレイドッグス」の主人公が、なぜ中島敦なのか、ずっと気になっていました。
文壇デビュー後一年も経たないうちに病没し、生前刊行された本は二冊。
決して、華々しくはありません。
しかし、国語の教科書に燦然たる輝きを放っている「山月記」、この一編で、彼は多くの日本人の記憶にしっかりと刻みこまれたのです。
展示は、第1部は「彷徨する魂」、第2部は「実りのとき」と題されて、年譜を追って見ていけて、わかりやすかったです。
ワークシートを解答しながら展示を見て行きますと、彼は、ソウル、大連、満州、パラオと、若い頃、海外の空気に触れていたことがわかります。
そうした経験が、どのように創作に影響を与えたのかもわかるよう展示がされていました。
彼の作品の現代作家への影響として、円城塔、細田守があげられていたのが興味深かったです。
ワークシートを提出すると、文ストコラボのクリアファイルをもらえました。
クリアファイルには、「カメレオン日記」の一説が記されていました。
観覧後、文ストの主人公が中島敦なのはなぜか、の答えを改めて考えてみました。
創作者が陥ると身動きの出来なくなる、恥をさらせないという恐ろしい病があります。
病は、身内に飼う虎。
身を切られるような思いをして、自己治療して克服しなければ、その先に踏み出せない。
教科書めいた解答しか出せない自分を歯がゆく思いつつ、カクヨムコンの季節になると、身内の虎をどうしてくれようかと、悩ましくなります。
県立神奈川近代文学館
https://www.kanabun.or.jp/
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