第49話 むかごごはん 秋の苦味は ほっこりさん
小さくてもふっくらとした歯ごたえに、お芋さんだなと思わされるのが、むかごです。
子どもの頃、よく食べていたのは、むかごの甘辛煮。
ただし、お菓子ではない甘い味つけのものは、おかずとしてさほど好きではなかったので、その印象は薄いです。
味つけの印象は薄いのですが、ほくっとした歯ごたえは覚えています。
むかごは、山芋の子どものようなものです。
紅葉の始まる頃、ハート型の葉のついた蔓に、ぽこぽこと実がつきだします。
この実は、脇芽が大きくなったものです。
地面に落っこちると、発芽します。
発芽するエネルギーを貯め込んでいるので、ちっちゃくても栄養があります。
大人になってからは、甘辛い煮物をごはんのお供にしても美味しく感じるようになりました。
塩でいただくかき揚げは、晩酌の相方にぴったりです。
むき栗とむかごで秋のドリアにしても、美味しいです。
でも、なんといっても、深まる秋には、むかごごはんが一等賞です。
甘くふくよかな炊きたての新米から、ほっこり顔を出すむかごの苦みばしった表情。
春の山菜に劣らず味わい深い、秋の苦うま味っ子、
きくの露
元禄二年 小文庫(泊船集・蕉翁句集)
松尾芭蕉のむかごを詠んだ一句です。
むかごは、場所によって、ぬかごとも言うそうです。
「きくの露」は、菊の露に不老長寿の効力があるという伝承を踏まえた、重陽、菊の節句の風習を思い起させます。
菊の着せ綿の菊の露で顔をぬぐって若返りを願い、菊を浮かべたお酒を飲んで不老長寿を願うといった風習です。
菊の露には、人が元気になる力が宿っています。
むかごには、人が元気になる滋養分が育まれています。
二者の共通点を絡めた連想で生まれたのではないかと解説にありましたが、確かにそうかもしれませんね。
※twitterでむかごごはんとむかごの写真を掲載してます。
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